現実と隈
よろしくお願いします
「なにぃー?痛いよー」
「取れないんだな、これ」
昨晩見た夢の中の公園のブランコに座っている。
お昼真っ盛りな曇り空の下。今、現実に見ている目の前の隈を、人差し指と親指で摘んでいる。
「取れると思った経緯を知りたいイタイよ。ちなみに今のはダジャレなんだけどね、知りたいと痛いを…」
「それ、面白くないよ」
「傷つきます」
隈の感触は柔らかくて暖かい。
こんな状況、側から見れば少しばかりまずい気もしたけど、そんな事を気にしている場合ではない。
実は、昨日見た夢の中の隈がない君の顔が頭から離れてないのだ。もしかして、本当に。本当にあんな顔してるんだろうか。
「隈がなければ、モテると思うんだけど」
「あはは。前に、隈がないと私じゃないって言ってたの君じゃなかったっけー?」
相変わらずな棒読みな君からの返答。
諦めて隈から手を引く。
「そんなこと言ったっけ?」
言い覚えのないことではあるが、「思い」覚えのあることなので否定はできない。
「じゃあ、隈のない私のこと見たい?」
「あー、まあ。気になるかも」
素直にそう返答してみると、ブランコに座る君は、何かを考えながら、目を瞑り地べたを優しく蹴った。
ゆっくりと、蹴った分の勢いに揺れるブランコ。それからは何もする事なく、ただ小さな揺れは徐々に収まっていくのを見ているだけ。そして、とっくに揺れが収まって数秒。君は目をゆっくりと目をあけた。そして、それまで何を言い出すのかと身構えていた僕に告げた。
「さっきから、なにジロジロみてんの?」
「はっ?」
「夢の続きが見れる」そんな馬鹿な期待をしていた僕が馬鹿だった。
ありがとうございます
登場人物の名前とかはまだ考えないです。