隈が!?
よーろーしーくーおねないしやす
「あははー、あれー?君にも隈ができてるよー」
「昨日は、眠れなかったんだよ」
休日だと言うのに、どうしてだろう。
同じ公園のブランコに座っている君の隣に僕はいる。
君にも言われたけれど、実際に朝起きて鏡を見た時、見事な隈が僕に乗り移っていた。
「ねぇ、わたしの秘密。教えてあげようか?」
「いや、いいや」
「えっとねー、これをこうしてねー」
人の話を聞かない君は、勝手に説明をし始めた。そして、話ながら両眼の下にある隈を摘んだ。
「え、なにしてんだよ」
眉間に皺を寄せて、何やら力を込めている。
「うぅっ?んっ!!わぁっ!」
君が辛そうに込めた力を解き放つと同時、隈を摘んでいた両手が外れた。いや、隈が顔から外れていたんだ。
「えっ、ええっ!?」
パッ!と目が覚めた。
仰向けに寝てしまっていた僕は天井を見上げている。
「夢…」
非常につまらない夢を見たことと、寝ても隈のことしか考えられていないという事実に頭が痛くなる。けれど、今見た夢がサスペンスというのなら、あれはあれでも面白いかもしれない。
ベットから起き上がり洗面台の鏡の前。
瞼を凝らして、自分に乗り移っている隈を必要以上に意識した。
あざすあざす