『レブロの話』5話
「ただいま帰りました、店主さんってグドマンって名前だったんですね、職員さんから聞きましたよ?って言うかアーガスト銅貨は10アーガストなんですね教えといてくださいよ!俺がもし買食いかなんかしてぼられたらどうするんですか!?後、初級冒険者講習は受けなくても良かったりします?全財産はたいたんですが…」
レブロは照れ隠しも含め矢継ぎ早に話す
「ピーピーうるせぇな、アーガスト王国の貨幣は5種類、アーガスト銭貨が1アーガスト、銭貨10枚でアーガスト銅貨1枚、銅貨10枚でアーガスト銀貨1枚、銀貨10枚でアーガスト金貨が1枚と等価だな、まぁ金貨以上は今のお前にゃ関係ないから良いか、教えてねぇのは聞かれてねぇからだがな」
あと一種類だろ!ちゃんと言えよ!
とは言え、完全にアーガストが、ゲシュタルト崩壊した俺には、これ以上アーガストと言われても、認識できる自信はなく、更に言えば手に入れる算段もつかないから、まぁいいかとレブロは思考を切り替える
あれ?そもそも冒険者登録に金が掛かるとか、今の資金で足りるかとかは、教えとかないと無駄足じゃね?
「初級冒険者講習も含め、冒険者なんざぁいずれ命を張る仕事をするんだ、必要な情報が揃ってないのに拾えそうな機会に接して今の全力を備えない奴は冒険者に向いてねぇ、講習受けずに使い込んだりしてたら、梃子でも村に帰すまでよ」
グドマンの言葉はレブロ的にも納得の行くもので、銅貨5枚しかないのに、目的である冒険者登録の前に使い込む様な奴は、仕事に命を張る冒険者には、確かに向いていないなと思った
でもぉ、生きる為には余裕は残しておくべき、って気もするなぁ
若干首を傾げながらも考えるレブロを尻目に、店主改めグドマンはレブロの説明から、思惑通り事が進んだ事を密かに安堵した、自分が開拓村から今日に至るまで見てきた、出来る仕事は怠らず小心者のきらいはあるが、現実的な少年が、少なくとも自由になる金を手にしても、羽目を外さず備えを尽くした事を嬉しく思っていた
それから3日後の午前中、領都ワイゼス中央区の冒険者組合内での初級冒険者講習にレブロは参加していた
レブロは日課の朝一の房の清掃と言う弊害を、金銭で穴埋めする事は難しい為、直近の開催日を調べてから以降、馬房と奴隷房だけではなく、店の全ての清掃と雑務をこなしており、更に講習後に超過日数分、同様の業務をこなすと言うグドマンとの口約束で、乗り越えて参加したのであった
「初級冒険者の諸君、私はワイゼス支部長イグノ厶、君達はけして初級冒険者にして決して安くない費用を投じてここに参加してくれた、それを我々冒険者組合は嬉しく思う、ここでは初級冒険者としての…」
副支部長は如何にも冒険者からの叩き上げの様でまるでプロレスラーの様な体つきである
あまりの威風と全財産をはたいた事実により、一言たりとも聞き逃すまいとするレブロの釘付けの姿勢と鼻息は、緊張感のある他の初級冒険者の中でも気持ち悪いもとい、生真面目さを感じさせる開催者からすると若干だが目を引く理由になる程、レブロは目立っていた
全財産はたくと、当たり障りのない挨拶も貴重に感じるのね、勉強になりやす