『レブロの話』3話
「おう日課は終わせたな、これからどうすんだ?」
朝一から普通に昼前まで掛かる、馬房と奴隷房の清掃を終わらせ、腰を下ろし一息ついていると店主から声が掛かる
「えっと、特に予定は無いんですが、一年後の自分への投資がしたいです」
「学もねぇ字も読めねぇ癖に、やけに大人びた考え方するなお前は、まぁ1年で成果ってえとやっぱり冒険者あたりか、1年でツテ作って職人って線もあるが、お前実家友達、慣れた土地の生活捨ててまで、長命種にゃ敵わねぇ職人稼業をする気で領都に来たってこたぁねぇだろ?」
長命種!?あれかエルフとか吸血鬼?...あと知らないわ
「職人ってどれぐらい給料もらえるんですかね?給料が良ければまぁ暫く腰掛けても良いかなと、後そもそも一般的な給料ってどれくらいなんですか?」
実家じゃほとんど金を扱う事なく、村では共有財産の備品と、たまに来る巡回商人との物々交換で経済は成立していた
無駄に広い土地とそこら中に出る野生動物で、食う物はギリギリまかなえていたが、年貢と冬の備えでホントにギリギリって感じだった
そんな生活しか知らないレブロの知識、故に俺には貨幣価値がわからない、日本での義務教育が基礎にあっても、基準がわからなければ計算はできない
「はぁ?腰掛けだと職人連中にそんなこと聞かれてみろ、ボコボコにされて簀巻きで川に流されるぞ、後なんだ平均的な給料だぁ?まぁそうだなぁ独り身の男なら、800とか900アーガストぐらいなんじゃねぇかな」
しまった、平均的な給料聞いても全然わからん
飯が高いのか、宿や家賃が高いのか、それとも他に掛かる費用があるのか、まぁそこはおいおいか
「後な、職人なんか住み込みとか通いで修行して、早くて5年遅けりゃ10年ばかし見習いだ、売り物に関わらせて貰ってからしか給金なんか発生しねぇよ」
なにそれこわい
「じゃぁ冒険者組合にちょっと顔出してみます」
「へっ、お前も現金だなぁ、だがよぉ辛い、金が無いと言えど、職人は冒険者みたいに命までは取られねぇんだぜ?そこんとこだけはきちんと肚に落としときな」
説得力が凄い、死への実感がありありと伝わってくる嫌味に、わかってるつもりだったけど、背筋が冷えた
このオッサン、良い人だけど嫌な奴だ、若者にはもっと希望を持たせてくれたって良いじゃない