『レブロの話』1話
初投稿、初作品
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「マジでどうすんの?」
名はレブロ、17歳無職
俺には日本人川島翔太としての記憶がある、と言っても恥ずかしながら職歴はない。
学歴もいじめがきっかけとは言え高校中退、適応障害その他諸々発症でお薬が必要な状態になり、お決まりかどうかは知らんが引き篭もった。
若い頃は世の中全てを恨んだし、言ってもしょうがない、と何とか社会復帰しようともしたが、無理と焦燥、度重なる無力感による悪化を繰り返した。
おかげで親も干渉しなくなり、外へ出る理由も気力もなくなって、ネットに明け暮れて、38歳まで両親にぶら下がって生きてただけのニートだ。
つまり享年38歳、転生もドラマチックでも何でもなく、不摂生極まってたから多分心筋梗塞とか、脳卒中とかで死んだのだろう。
死因は多分そのへんだと思う、考えてもわからず、途中から考えるのを辞めた。
日本での最後の記憶は冬場だったのは覚えてるけど、いつもの様に寝たはずだ。
アーガスト王国の辺境開拓村貧乏農家ヨーゼフの4男レブロ少年15歳として目が覚めた。
目覚めた頃の記憶は曖昧だが、15歳レブロ少年としての自分、川島翔太としての自分との処理による弊害か、5日ぐらい割れる様な頭痛と吐き気で寝込んだけどね
寝込み終え意識が定まりはじめ、ほとんど飲まず食わずで絶不調の体で、のろのろと寝床から起き上がった。
現実感と転生の実感と共に喜んだし、期待に胸は膨らんだ、若い体、何だかお薬も要らない新たな自分、鬱々としていたはずの思考回路もすっきりと晴れた。
後はなんと言っても田舎の貧乏農家でも、うっすらだが魔法の存在が現実的な世界と認識がある
身近じゃないが騎士や貴族、魔物に冒険者果てには精霊や神の祝福なんてものが、レブロの記憶に寝物語や村の話として記憶に残ってやがる。
現状認識のため、記憶の整理をはじめおぼろげながら、新たな世界に想いを馳せたのも束の間、思い出してしまった。
そんな夢や魔法よりも、現実的な問題を俺は抱えてなさった、意識を取り戻したその日に誂えたように自分の進路を決めなきゃいけない。
都合5年農奴として領主と契約し、領内の違う開拓村でとりあえず働くか。
1年借金奴隷として奴隷商に買われるか、2択のどっちも奴隷だと?
この世界の借金奴隷は言っても、地方から都市部への出稼ぎ制度の様だった。
都市部での人材派遣を年契約で確保し、契約時に前払いした金を返済していく様な仕組みである。
と言うのがレブロ君の知識から考察できた、前払いと言ってもその実3分の1程度であり、半分は領都への移動費やら生活にかかる諸費用なんだって、対して儲かんないな。
期間の制約も含め、今世でのチートも祝福も特殊能力も探してないうちから自分の価値を決めてたまるか
めでたく借金奴隷を選択し、厩や奴隷房の清掃、点検、搬出入はもとより、糞の為の、糞(餓鬼)による、糞みたいな仕事をこなした1年が過ぎた。
謎に更に半年が立って今日、午後の仕事の終わり際に店主に900ml紙パック程の、葉っぱで包まれた包みを持たされ、奴隷身分からの解放を言いつかり、冒頭に至る。
毎日毎日、仕事を終えて寝る前には、チートや特殊能力や魔力を、思い付く限り探してみたが何も手応えがないこの先どう生きたら良いのかも全くの不明
「マジでどうすんの?」