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生まれながらに人生のランクが決まっていたら?

僕はノーマル。

育った家族もノーマルで

父は地元の運送会社でトラックの運転手をしていて

母は家の近くのスーパーでパートをしている。地元ではめずらしく遅くまで営業していてパートなのに交代で遅番があると嘆いている。

妹は高校生。成績は中の中。

ルックスも中の中。

あくまで僕の基準で。妹に聞かれたら怒られそうだ。

ノーマルにはノーマルが生まれ育つ。

当たり前で決まっていて誰も疑わない世界。


いつからから知らない。

聞いた話ではずっと前から。

歴史上の出来事らしい。

昔はお金持ちと僕らみたいなノーマルと

もう少し生活に厳しい人達や家がない人達、仕事がない人達が混雑していた時代だったらしい。

中学の社会科でちらっと聞いてなんとなく耳に残ってる格差社会。

なんで耳に残ったか…て

ちょうどその日は授業に飽きて教室から外を眺めていたら、今や時代錯誤と言える夏のグランドでの体育の授業。

エアコンガンガンの涼しい教室と暑いグランド。

これも格差かな、なんてぼんやり考えた。

まぁ次の日は僕も灼熱のグランドで更に汗かくような事をさせられて

ぜーぜー言いながら校舎を睨み付けてたっけ。昨日の格差が今日は我が身、てやつ。

それから時期に地球の温暖化?てやつがジワジワすすみ、夏の体育の授業は体育館のみ、更にエアコン完備になって気温的には快適な体育授業になった。外で体育なんて春先しかしない。

大体、体育の授業も選択制になり受けなくても問題ない。

頭が厳しい僕は体でとれる選択が楽でかならず選んでいたし

暑い中で文句言いながら嗅ぐ乾いた土の匂いや自分の汗の臭いに閉口しながら走るのも嫌いではなかった。

あ、匂いフェチでは断じてない。

女子の匂いは嗅いでいたいけど。

で、格差社会が問題になって偉い人がこのままではいかん、と今の世界になった。

もちろん、最初は紆余曲折や問題はあったらしいけどそれでも会った事のないひいお祖父さんやひいおばあさんの時代には落ち着いたらしい。

これがノーマルとプレミアム 時代の始まりだ。

ノーマルは

そのままボクみたいな人。

ちなみにこれは生まれた時から決まっている。その事になんの疑問もいだかない。

なんで、って生まれた時からだから。

家族もノーマルだし。生まれたボクもノーマル。自然だね。

プレミアムは

ちょっと違う。基本はお金持ち。家柄がいい、て言うのか、代々の家系図を見ていくとプレミアムになる理由を築いた人がはっきりと辿れるらしい。良く分からないからけど。

プレミアムの中でも

お金持ちとか、代々医者とか政治家、神宿、地主、社長、等々、上げたらキリがないけど

ちょっとずつ枝葉?があるらしい。

これも生まつきだから、まぁそんなもんね、て感じ。


その中で生きている。大きな差別はない。

ノーマルとプレミアムともって生まれた物はあるけど環境は選べる。学校も仕事も基本的には入る時に平等に試験がある。

試験にノーマル、プレミアムは関係ない。

ノーマルもきちんと頑張ればいい暮らしも夢ではない。

逆にプレミアムも怠ければそれなり、て事になり次の代からノーマルてのもあるらしい。

試験に差別をする会社や学校は政府がしっかりと取り締まっているらしい。

どうやってるかは知らないけど

個々ナンバー管理されていて見張られている、て話だ。AIも確立しているし出来ない話ではないね。

生活は…AIに占拠されていない。

じいちゃんが言うには

一度、病気が流行って世界の人工が減って働く人が減った時にAIを導入したらしい。ただ人の手によってしかできない事が見直され文明的には共存しているらしい。


それもいつの時代の話かは知らないし暴走なんて映画や漫画の世界じゃあるまいしボクはあんまり信じていない。

でも、学校で昔の博物館に行ったけど

展示してある中の一番最後の携帯とボクの携帯の見た目はあんまり変わらない。

家電製品も大差ない。ただ昔は選べなくて

今の時代は最先端も気に入れば旧式も自由に選べるなんでもアリだ。

昔の人が描いた未来図のように車も空を飛ばないし(そんな事になったら父ちゃんの仕事なくなる)きちんと自分で歩かないと進まない。望めばAIに任せた生活も出きるけどそれはやっぱりノーマルには手が届かないし、

勉強や仕事はやっぱり自分でやるしかない。

これはプレミアムも一緒。

人がやらなければならないことは今も昔も変わらない、て事だ。


で、ボクはやらなければやらない勉強をしに大学に進学した。

入試は基本的にすべての受験生が全国の会場やオンラインで一斉に試験をする。至ってシンプル。

とれた点数で希望の大学に入れるか決まる。

ノーマルもプレミアムも関係ない。

これは小中高の受験でも全く同じ。

実力試験だ。

高校の時は近くの所に入る事に疑問もなく好きな陸上の強い所に入った。

高校生活で長距離の魅力にとりつかれ

がむしゃらに走ったが地元での地方新聞に名字のみ載るくらいそこそこの成績しか残せず陸上での特待進学を諦めた。

そこからは頑張った。走るのよりキツかった。

各大学の赤本を買いまくり、寝不足で目の下にクマができ、よく胃痛、腹痛になって病院で点滴を受けながら参考書をひらいていた。

試験当日は電車の遅れや腹痛を怖れ前の日から下痢止めを飲み、吐き気が出ても大丈夫なように当日は絶食し会場まで車で親に送ってもらい、お昼は弁当も喉を通らなかった。

終わって迎えにきてくれた親の車に乗りこんてやっと水を飲んで帰り道のコンビニで肉まん買ってもらって食べて、夕飯も風呂も入らず爆睡し翌日妹に近よらないで!とシャワーを浴びるまで居間のソファーに座らせてもらえなかったっけ。

合格発表までの時間がたつにつれて沸き上がった自問自答の日々も含めてすべてにおいて頑張った。


残念ながら、狙っていた大学は無理だったけど第2志望にはクリアしホッとしたのもつかの間、卒業式や友だちとの別れ、当てにしていた大学の寮の選別に該当せずに(地元からの距離や高校時代の成績だったらしい)、

オンラインでアパート探しが余裕にできるこの世の中で「絶対目でみないとダメ」と旧式な考えの母と二人で日帰りで慣れない電車を乗り継ぎ携帯の地図アプリを頼り夢と現実のギャップに落胆しながらアパート探しに翻弄しやっと決め、帰りの駅でお土産に買った有名な焼売弁当を潰さないように帰ったけ。

妹からはなんでスイーツじゃないの、とブーイング。疲れていた母はぶちギレ妹の分の焼売弁当を仏壇に上げてビールと携帯片手に好きなバンドのライヴ見ながら長湯して(これは真似しちゃダメだ)上がった時には機嫌も直り仏壇から弁当おろして三人で食べて、

ボクがお風呂に入ったら

長距離に出ていた父にアパートの報告しながらお土産にスイーツ買ってきて、と連絡してた。そこにはお金の話もありいつもより早く上がってしまったボクは気付かれないように部屋に上がった。

時々、ノーマルだったな、て思う。

こんな時、プレミアムだったらアパートも(マンションか?)選び放題、足を棒にしてあるき回る事もなくタクシーで移動、なんだったらお抱え運転手つき自家用車と、お土産だってテレビで見るような「このお店の全種類頂くわ」て言う大人買いで何種類だって買えたろうな、とか

ボクのせいではないし親のせいでもないけど過る時がある。考えても変わらないんだけど。


大学に入って二年。

陸上部に入り全国から集まった凄腕ならず凄足集団について行く日々が続いている。

一斉に集団でアップをすると徐々に差が出てくる。入部したばかりの時はついて行くのがやっとだったけど今は真ん中より上くらいをキープできるようななった。

陸上の長距離はヒョロとした体型が多いがボクは背は普通で長距離にしては筋肉質な方。

最近はウェイトを落とせば速くなるのか?なんてチラッと思うが、ダイエットを試し練習中に倒れ周りに迷惑をかけた前科があるので監督始めトレーナーやマネージャーも何も言わない。


勉強?一応学部的にはスポーツ工学科。AIで済ませることも多くなってはいるけど、だからか尚更スポーツの素晴らしさ、みたいなのはなくならない。サッカーやラグビー、野球観戦も熱狂的だ。身体が資本は変わらない。いや見直されているかな。

スポーツに打ち込む事にまわりは好意的だ。

将来?身体が不自由になったときに助けりなる補助具の作成に関わりたい。

ロボットはほぼ人と同じ動きをするけどそれはロボットだから。

ロボットの足をつけて人間は動けない。逆もしかり。最後まで自分で動ける生活を送ってほしいと思うから。



今も走っている。

大学のバスに遅れるから。

起こしてくれるはずの携帯のアラーム止めて寝てしまい、いつものように慌ただしい朝だ。

部活の着替え、シューズ、プロテインに

勉強道具が入ったリュック。

これは必要と思われる物が全部入っているからめっちゃ重い。それを担いで走るから一種の筋トレになっている気がする。

始めて奮発して買った流行りのブランドのリュックの肩の所が破けた事があり登山にも使える強度の強いリュックにした。

中身を確認すればいいことだけど整理整頓はちょっと苦手だ。


バスに間に合いなんとか乗り込む。

ボクは始発から乗るから大体座れる。次に停まるまでに持ってきた栄養補充食品のプロテインバーをかじる。

今は食事をしなくてもサプリや宇宙食でも十分に栄養がとれるが、ボクの家は歯が弱る、と言う理由できちんと食事をとる。

バーが食事かは分からないけど。

ちなみにこのバーは母が社員割引のあるパート先のスーパーで買って送ってくる名付けて母段ボールの中に入っている。日持ちのする食品やお米、家にいた時に食べていたお菓子やジュース、風邪薬やティッシュ、長距離に出た時の父の地方のお土産など、入っている物は多岐に渡る。

最初の頃は毎月送られてきて部屋中段ボールが並んでいた事があって、さすがに食べきれない、て母に言ったらいつものぶちギレ。

段ボールは届くなった。

こっちも意地をはり部活を理由に夏も帰省せず友だちと過ごした。

うちはまだ時代錯誤の家族で過ごすお盆と正月がある。本当に地方のノーマルな家だ。


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