俺とイッヌが喚ばれてる!
こんばちは、動物は全体的に好きですが中でも犬は特に好きな作者です。ヽ(・∀︎・)ノ
今作は気まぐれオブザイヤーですので応援(ブクマ、ポイント評価、感想等。特に感想下さい)が無いと話が進みません。
やる気が保たないのです。(´×ω×`)
同時進行の『蔑まれの魔女奇譚』(下にリンク貼ってあります。定期更新)と違って真面目に完結や定期更新を考えていません。
もし『先が気になるー!』とか『完結させてー!』等少しでもこの話に興味を持って下さったなら応援して下さい。
いやマジ本当に。m(_ _)m
長々と話をしてしまいました。
どうぞお楽しみ下さい。|ω・)و ̑̑༉サッ!
「うわぁああああああ!!??」
「ごっ、ご主人ーーー!!!!」
ぼく、柴犬のイッヌ、五歳のオス。いつも通りにご主人と散歩に行ったらご主人がいつの間にか出来た穴に落ちちゃった!
ぼくは咄嗟にリードを噛んで、ご主人を引き上げようともがく。
「う"う"う"う"う"……!」
「た、助けてくれイッヌ!死にたくない!!」
ご主人!今助けるから!だから、リードを離さないで!わうううう……!!!
頑張るけれど、頑張るけれど!ご主人重いよー!だからご主人が運動部?に行くのは嫌なの!汗臭くなるし、帰ってくるの遅いし、筋肉?で重たいしー!!
「う……イッヌ……」
「わ"う"う"う"う"……!!」
爪がガリガリとコンクリートを削る。血が出て、痛くても、ご主人を守る事に比べたらどうって事無い!
それよりも人間!誰か通らないの!?何で周りにぼくとご主人しか居ないの!?も、もう、ぼくだけじゃ無……理……!
「あ」
「わぅ」
「「わぁああああああああああああ!!!???」」
耐えきれなくなって、ガクン!と体が傾く。それと同時に体が一瞬だけふわっと軽くなる。
ぼくとご主人は叫びながら穴に落ちて行った……。
ご主人、ごめんなさい。ぼくにもっと力が有れば……!
△ △
(•°ω°• )๑──━ヽ(・ω・ヽ)<マッテー
「「「ようこそおいでくださいました、『勇者』様、『賢者』様」」」
「へ?」
「わふ?」
な、何?ぼく達穴に落ちちゃった筈じゃ……?ご主人?ご主人?なぁにこれ?
ぼくは抱きついたままのご主人に鼻を向ける。でもご主人、ぽかんとしたままだ。どうしよう……。
はっ、まさかこの人間達がぼくとご主人を穴に落とした犯人……?
あっ!近づくんじゃない人間のメス!ご主人に何をするー!!
「ゔゔゔゔゔゔゔ……!」
「きゃっ!?」
「ステイ、イッヌステイ」
「わふ……」
威嚇したらご主人に叱られちゃった……むぅ。でもでもご主人、怪しいよこのメス!何か、変な匂いがする……。
ご主人は気にも留めず、その変な匂いのするメスに話しかける。
「俺は八公 忠義だ。お前の名前は?」
「わたしはマルタです」
「そうか。こっちは俺の家族で柴犬のイッヌだ」
「わん!」
「タダヨシ様、イッヌ、よろしくお願いしますね」
んー?このマルタってメス、ぼくを見た時ちょっと嫌そうな顔しなかった?酷いよー。
ご主人は微妙な顔をしながらぼくに繋がるリードをキュッと握る。
「あの穴はお前らの仕業か?」
「はい、そうです。異界から勇者様達に来てもらう為の穴です」
「……そのせいで俺は怖い思いをしたし、イッヌは怪我をしたんだが?」
「まぁ!それは面目ございません!今すぐ治療を!」
メスが近づいて来る。来ないで!ぼく達に何をするつもり!?ガルルルル……!
一生懸命威嚇するぼくをなだめるようにご主人が背中を撫でる。メスは一瞬怯んだけれど、ご主人がぼくを撫でるのを見てまた近づく。そして、両前足をぼくの足にかざした。
「スリーステップスヒール!」
ぎゃああああ!!!??ぼくの足が光ったぁああああ!!?
ご主人!離して!押さえ込まないで!危険!危険ー!!わぉーーん!!!
「はい、終わりましたよ」
「今の……魔法か?」
「はい、そうですよ」
「凄いな……」
ご主人、ぼくの左前足掴んでどうしたの?あっ『お手』かな?はい、ご主人!べしべし!ご飯!おやつー!
え?違うの?あれ、ぼくの足治ってるー。変なのー。さっきまで真っ赤になって痛かったのに、綺麗さっぱり無くなっちゃった。
「治してくれてありがとうな」
「わたしは『聖女』ですから、容易い事です」
「『聖女』……?」
「わたし達があなた方を呼んだ経緯を聞いて貰えますか?その時に『聖女』についてお話し致します」
「分かった」
鼻をふんふん鳴らしながら辺りを探る。空気は家の周りよりも綺麗で、畳の匂いのする家とは違って石とか皮の匂いがする。
この匂い……そうだ、洋風って言うんだっけ?隣のLECHAT?って人達の家からも似たような香りがするんだー。あそこ猫が居るから嫌いー。
「わたし達の国、人間の国は悪逆非道の魔人に苦しめられ、民も土地も魔人達の現れる前の半分以下になってしまいました。
このままでは人間は滅び、国は消え去ってしまいます。どうか、この世界をお救い下さい」
「ベタな奴だな……。それになんら関係無い俺達をどうして巻き込んだんだ?」
悲痛な匂いがするー。ご主人がたまにテストってやつを握り潰しながら帰って来る時と同じ匂いだー。
その時は凄く撫でて貰えるから嬉しいけれど、ご主人を悲しませるようなテストは好きじゃないなー。
それにしても、やっぱりこのメスおかしいよ。
悲しそうな顔をしているのに、匂いはご主人が好物を食べている時と同じ匂い、嬉しいと感じている匂いがするよ?
「そこで、わたし達人間は最後の手段である『勇者』召喚をする事にしました。
正確には『勇者』を召喚するのではなく『勇者』の能力を付与する魔法の事なのですが、その魔法を受けられるのは異世界の者だけなのです。
その『勇者』召喚の時に『勇者』を呼ぶ役目を担うのがわたし、『聖女』です」
「成る程な……」
ご主人ー。お外暗くなって来てるよー?早く帰ろ?お母さんさん待ってるよ?あんまり遅いとお父さんさんにも叱られちゃうよ?
あとぼくお腹空いたよー。ご主人もごはんの時間じゃないの?
くんくんと鳴きながらご主人の周りをうろうろする。ご主人は困ったような顔をしながらぼくを撫でる。
違うよ、そうじゃないよご主人。こんな長い散歩やだー。帰ろー?帰ろー?
「悪いがその話、断らせて貰う。イッヌも帰りたそうにしてるしな」
「なっ……何故です!?」
「お前らな、この状況は拉致と変わらないぞ?お前らは拉致された人物が『はいそうですか』と素直に言う事を聞くと思ってんのか?」
「わんわん!」
「そ、それは……」
そうだそうだー!やっちゃえご主人ー!ぼくは人間語は分かっても話せないから応援しか出来ない!ごめんねご主人!
その代わりしっぽ振ってわんわん鳴いて応援するね!行け行けご主人!頑張れ頑張れご主人!
「それと、俺達は元の世界に帰れるのか?まさか勝手に呼び出しておいて帰れない訳無いよな?」
「そ、そうです!元の世界に帰る方法は『魔王』が知っていると言われています!
『魔王』を倒せば帰れ──」
「自身の命を狙う敵に情報を渡すと思ってんのか?俺が『魔王』だったら絶対に渡さないな」
メスがグッと黙り込む。ご主人はメス達をキッと睨みつけたまま動かない。
……ん?知らない匂いが部屋の奥、廊下の方からやって来る。急ぎ足だね、何だろう?ぼくは耳をピンと立てながら廊下を注視する。
「ゆ、『勇者』様が召喚されたと言うのはまことか!」
「『王様』!」
やって来たのは豪華な服や金属の匂いをさせ、更に汗臭さも追加された太り気味の人間だ。ぼくの持ってるボールと似てる!
そのボール人間は転がるように頭を地面につけ、全部の足も地面につけた。何やってるの?新しい遊びー?
「どうか、我が国を救ってください!この通りじゃ!」
「土下座……」
あー、そう言えば前に家に来たスーツ?を着た人が『これを買ってください!お願いします!買ってくださるまで帰りません!!』って言いながらやってたポーズだ!
ぼくが『怪しい奴め!』ってわんわん言いながら飛びかかったらすっごい情けない声上げて逃げてったんだ!
その日はお母さんさんがいつもより豪華なごはんくれたんだ〜。良いでしょ!
あのボール人間に飛びかかったらまた美味しいごはんくれるかな?
「……救ったら、帰してくれよ?
イッヌごめんな、暫く帰れそうにない。
帰れない以上ここで受諾しないと魔族に攻められて俺達が死んじまいそうだ」
「わふ……」
「おお、それでは……」
「仕方ないから、その話を受ける」
「「「ありがとうございます!!!」」」
ご主人、悲しそう……。むー……人間達、ご主人を悲しませないで!わんわん!
ぐるる……と唸っているとご主人が撫でてくれた。ご主人の手、暖かいー……ちょっと硬いけど。
「それではこちらへおいでください。鑑定の儀を行います」
「鑑定の儀?」
「『勇者』様方の能力を数値化する儀式の事です。
これによって正式に『勇者』と認められ、国中に情報を通達出来ます」
ボール人間に付いてくご主人の後ろを付いてく。更にその後ろに沢山の人が付いて来る。一部のメスがぼくを見ながらきゃーきゃー言ってるー。何だろー?
とてとて歩きながら暫く進むと大きな扉の前でボール人間が止まる。それに合わせてぼく達も止まる。
「『勇者』様方、この扉の前でお待ち下さい。
扉が開いたら入場して下さい」
「分かった」
あ、ボール人間が走って何処かに行っちゃった。他に数人付いて行くね。残りはぼく達と待ちぼうけ。
ご主人ー早く中に入ろーよ!ボール人間なんか放っといてさー。ねーねー。
「『勇者』様方の、おなーりー!!!」
パンパカパーンパンパカパンパンパンパン!
「わうっ!?」
「イッヌ!?……あ、そうかいきなり大きな音がしたからか。怖いな、イッヌ。少し我慢してくれ」
「くぅん……」
うわーっ!?いきなりすっごい音がしたよ!!怖い!怖いよーご主人ー!
ぼくはご主人の足と足の間に顔を突っ込みながら尻尾を自分の股に収める。怖いよぅ……。
「さ、イッヌ、行くぞ」
「わう……」
ご主人ーご主人ーわぅー……。怖がってたらご主人がぼくを抱っこしてくれたよ。ご主人優しいな!
ぼくはご主人に抱き抱えられたまま大きな部屋に入って行く。凄ーい!凄いよご主人!この部屋、ご主人の家(普通の戸建)くらいの高さがあるよ!
ぼく達が進んだ先にはさっき消えたボール人間が居て、立派そうな椅子に座っていた。
その前には綺麗な石が豪華な台座の上にあって、その横にいる年老いた人間がご主人に話しかけて来る。
「これから鑑定の儀を執り行います。
それでは八公様、御手をここに」
「分かった」
「くぅーん?」
ご主人が石に手を触れる。すると、光が石から伸びて、この部屋の壁に文字が映される。
それを朗々とした声の人間が読み上げて行く。
──────────────────────────
八公 忠義
役職:『賢者』
STR:15
CON:14
POW:10
DEX:14
APP:11
SIZ:12
INT:12
EDU:8
SAN:50
MP:10+5000(役職ボーナス)
LUK:50
HP:13
DEF:6
スキル
〈魔法創造Lv.1〉(役職固有技能)
〈魔力操作Lv.1〉
〈主従の絆〉
〈言語理解(人)〉(異世界人補正)
〈いぬのきもち〉(八公 忠義 専用技能)
──────────────────────────
ざわ……ざわ……
「……八公様が『勇者』ではない?」
「なら、『勇者』様は一体何処に?」
ご主人が『賢者』ー?そんな事無いよー。ご主人運動一辺倒で勉強出来ないもーん。それで赤点?なんだもーん。
あ!でもぼくの言葉は他の誰よりもよく理解してくれるよ!会話は出来ないけれど!
「『勇者』ならここに居るだろ?」
「え……?」
「いかなる時も自分の身よりも俺を守ろうとしてくれる。最高の『勇者』だよ、こいつは」
「まさか……」
ご主人がぼくの右前足を持って石に押し当てる。ご主人ーなになにー?
壁に映った文字は搔き消え、代わりとでも言うように別の文字が映される。それを、震える声で人間が読み上げて行く。
──────────────────────────
八公 イッヌ
役職:『勇者』
STR:8+10000(役職ボーナス)
CON:10
POW:11
DEX:20
APP:16
SIZ:7
INT:15
EDU:5
SAN:55
MP:11
LUK:55
HP:8
DEF:10
スキル
〈勇敢なる心Lv.10〉(10が最大値)
〈火神の祭司〉
〈猛る牙Lv.10〉
〈狼炎爪Lv.10〉
〈真偽の嗅覚〉
〈御手Lv.10〉
〈お座りLv.10〉
〈お代わりLv.10〉
〈ハイタッチLv.10〉
〈匍匐前進Lv.10〉
〈死んだふり〉
〈ちょうだい?Lv.10〉
〈ジャンプLv.10〉
〈遠吠えLv.10〉
〈宙返りLv.10〉
〈魔力感知Lv.10〉
〈太陽狼Lv.1〉
〈言語理解〉(異世界犬補正)
〈第六感〉
〈主従の絆〉
〈ひとのきもち〉(八公 イッヌ 専用技能)
──────────────────────────
壁の文字を読んだご主人は悲鳴をあげるように叫んだ。
「俺のイッヌが強すぎる!」
八公の口調が詰問口調ですが、イッヌが大事が故です。
イッヌ>>>超えられない壁>>>初対面の人
ステータスはイッヌつえー、と思って欲しいだけなので深い意味は無いです。( ´ ▽ ` )ノ