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十英傑の影なる王  作者: よどすけ
7/14

7.入学式➁

「これより入学式を始めます」


声が響くやいなや体育館が静寂に包まれる。やはりこれほどのレベルの学院では教師の指示にはきちんと従うのだ。

バカな所では静かにするという事でさえ時間を食い、無意味な時間を過ごす。その点、この学院に入学した生徒のほとんどは自らレベルの高い場所に身を投じ、切磋琢磨しようとする者が集まる。


「えー、早速ですが学院長に挨拶をしてもらいます。 では、どうぞ」


この学院の学院長。そうベル・サンドラである。十英傑の中で正体を明かしている数少ないうちの1人だ。このベルの学院だからこそ!と言う理由で入学してきた者もいるだろう。40近いとは信じられないぐらい妖艶で美しい女性。しかも学院での生徒に対する態度も評判が良い。


勿論自分から彼女に声を掛けられるほど勇気を持つ者は少ない。俺も彼女とは十英傑の中で良くしてもらった。

気さくで気の利く人だ。 実はあまり生徒が自分から喋り掛けてくれないと1年前にこぼしていた事は内緒である。


タン、タンと階段を登る。纏う空気が違うとはこの事だ。別に彼女自身怖い人、という印象は決してないと在校生は知っているが、新入生にとって彼女は夢のような存在で、そんな人が今自分の目の前にいる。周りを見てみると涙を流している生徒もいるぐらいだ。


「はじめまして諸君。ベル・サンドラだ。まず、アールスハイン学院への入学おめでとう。心から歓迎するよ」


「「「うぉぉぉぉぉぉ!」」」


今まで御伽話の世界の住人だった人に言われたからであろう、新入生からは盛大な歓声が上がる。


「あ、俺、マジでこの学院にはいれたんだな!?」とあちこちで自問自答のような声が聞こえる。


「たまらねぇよな!こんなの誰でも嬉しいぜ!」


「そうだな」


「あれ、凛夜はなんでそんなに平然としてられるんだよ!あのベル・サンドラだぜ!?誰だってテンション上がっちまうだろ!まさかあれか?あのベル・サンドラと面識でもあるってのか?」


ま、まずい。別に自分の素性はまぁ後々バレても良いと思ってはいるが、こんな序盤でバレてカイ以外に近寄りがたい雰囲気が出来て友達が出来ないのは嫌だ。それにあの妹もいるし。。


「い、いや、そんな事はない。十分驚いているさ。余り表情には出てないだけでな」


「そうか?まぁ、こんな時ぐらいテンション上げてこーぜ!」


あまり詮索してこなくて助かった。ホントにいい奴だ。はじめに友達になれて良かったぜ。


「んん、えー、私が初めに伝える事は毎年決まっている。何事にもチャレンジし、諦めるな!それは魔法、武術、勉強、それ以外も例外では無い!チャレンジして出来なくても良い。だが、チャレンジしようとするのとしないのとでは大きな違いがある!勿論人それぞれ得意不得意はあるだろう。私も多くの人々を見てきた。が、成功した者はみな勇敢に挑戦していた。それはあの十英傑も例外では無い。素性を明かしていない者もいるのであまり明かす事は出来ないが魔法専門の者でも最低限近接戦闘も出来る。まあ、そこまでなれとは言わない。が、チャレンジをする事は忘れないでほしい。私からは以上だ!」


あの人、素性を明かしていない者、という所でこっち見ながら笑いやがった!辞めてくれよ!ホントに。


などと思っていると、「くぅ!やっぱ十英傑が言う事には現実味があるなぁ!俺もあんな人になりてぇ!」


「学院長、ありがとうございました。続いて新入生代表者の答辞に移ります。新入生代表、萩野紫苑前に出なさい」


「はい」と鈴音のようなよく通る声が聞こえるのと同時にそこかしこから息を呑む音が聞こえる。それは横にいるカイも例外では無かった。


「お、おい凛夜。は、萩野って、まさかあの子か?」


まあ、動揺するのもわかる。我が妹ながらえげつないぐらいの美少女さだ。


「ああ、そうだよ。あれが俺の妹だ。まぁ、血は繋がっていないがな」


「通りで。お前はイケメンあの子はめちゃくちゃ可愛いが兄妹にしちゃー全然似てないと思ったぜ!」


…どういう繋がりかは聞いてこないんだな。カイの性格が出ている。


紫苑の答辞が始まる。


「冬が明け、春の心地よい風が吹くーーーーー」


✳︎✳︎✳︎✳︎

「ーーーーこれからも私達は将来の為にひた走って行きたいと思います。新入生代表、萩野紫苑」


「ありがとうございました、素晴らしい答辞でした。


えー、では教室に向かってもらおうと思います。在校生は分かっていると思いますので、新入生のみなさん、入学決定と同時にお伝えしましたアールスハイン学院のアプリはダウンロードされたと思います。そのアプリ内で自分の学籍番号、生年月日を入れてもらえれば今年のクラスなどがわかるはずです」


「わ、ホントだ!」 「一緒のクラスじゃん!よろしくね!」などと聞こえて来る。


「凛夜は何組だった?」


「2組だな、カイは?」


ふっ、と笑うと


「奇遇だな。俺も2組だ。これからよろしく頼むぜ!凛夜!」


「ああ、こちらこそ!」


とお互い拳と拳を合わせた。


✳︎✳︎✳︎✳︎

「では、後ろの席から順番に出てもらいます。ではまず、後ろ半分の左3列のーーーー」


「やっと俺らの場所だな!やっぱこうしてみると人多いよな〜」


「そうだな、本当にやっとだ。そういやカイ、お前は武術と魔法どっちが専門なんだ?」


「おらぁ、見ての通り武術だぜ!魔法は昔から身体強化ぐらいしかまともに使えなくてよ。そういう凛夜はどうなんだ?」


「ま、そうだよな。俺はまー、魔法、かな。」


「なんだ?歯切れの悪い返事だな。まあお前はどっちも出来そうな雰囲気あるもんな〜」とニヤニヤしている。


まあ、確かに俺に専門はない。自分でも不思議なぐらいどっちを使っても違和感が無かった。まあ十英傑の1人として一様はね。。。


「それでは真ん中4列の人お願いします」


「うし。行こうぜ凛夜!」


紫苑も良いかと言おうとしたら、


「お兄様、私はこの後職員室に行かなければならないみたいです。」


グッドタイミングだ。


「おお、そうか。わかった。ああ、紹介するよカイ・シルバーだ」


「どうも妹さん、カイ・シルバーって言います!」


「兄がお世話になっております。萩野紫苑です」


「そういや紫苑。何組なんだ?俺とカイは2組だけど」


「私は1組になりました。昼食や下校時はご一緒出来ますがそれ以外は中々難しそうです」


「そうか。残念だな。また来年に期待だな!」


「はい、お兄様!」


「お、おい凛夜!」


「なんだよカイ」


「お前らめちゃ目立ってるぞ!周り見てみろ!」


おお、ホントだ。気づかなかった。


「ねぇ、見てみて美男美女よ! 絵になるわね!」


「ケッッ!イケメン死すべし!」


なんか端っこの方で数人が死の呪言を繰り返ししている。


「そろそろ行こうか。紫苑また後で連絡くれ」


「わかりました。それではカイ君失礼します」


「おう!またな!」


教室に2人に向かって歩いて行く。


凛夜の学校生活がもうすぐ始まるーーーー。


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