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十英傑の影なる王  作者: よどすけ
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6.入学式①

4月、それは日本では桜が舞い散る中新たな出会いが起きる時期。みな、新しい生活に不安を抱きながらも人生の1ページを刻んでいく。


それは若くして十英傑に名を連ねる凛夜も同じだった。


「へぇ、ここがアールスハイン学院か。思ってた以上に校舎でかいな!」


「そうですねお兄様。あの人が学院長になってからさらに、学院の教育方針、規模どれもがそれまでより向上しているようです。アールスハインは今や世界で1.2を争う学院になっています」


「まあ、お前はそこの首席だけどな?」ニヤリとしながらいうと、


「お兄様はそこの特待生ですけどね?私なんかよりお兄様の方が注目度は高いでしょうね。まず容姿で人に見られ、その特異性からも注目を浴び、さらには・・・」


「もう辞めてくれ… 気にしてんだよ…」


と、テンションが入学式初日からダダ下がりの凛夜であったーーー


✳︎✳︎✳︎✳︎

「えっとー、集合場所は体育館で席は自由か。紫苑一緒に座るだろ?」


「すいませんが私は新入生代表の答辞を読まなければなりませんのでご一緒できません」


「おーそうだったな。んじゃ後でな。」


「はい」


俺は手をひらひらさせながら紫苑と別れる。どうやら紫苑は1度職員室に行き答辞の軽いリハーサルを行うらしい。たくっ、あの優秀な紫苑が失敗するわけないのに。などと考えながら体育館へ向かう。その道中でもやはり凛夜の容姿は目立ちあちこちでヒソヒソ声が聞こえる。


「ねぇ、あの人やばくない!?」


「何よあれ!?どっかのモデルさん!?」


「な、中々、い、良い身体つきをしてるでございますな、はぁ、はぁ。ぜひ喋る機会がほ、欲しいでござる!」


その瞬間、とてつもない寒気が走った。これはそうあの人と同じ感覚だ!やばいと思った瞬間体が勝手に反応してしまったいた。


「あ、あれ?さっきのイケメンは?」


「さ、さぁ、瞬きしたらいなくなっちゃってた。」


「はぁ、はぁ」勝手に体が反応していた。今凛夜は自分の持てる範囲の力で移動したのだ。9階建ての大きな校舎の上にーーー。


「はぁ、何してんだよ全く!」でもあの感じはやばかった。言葉では言い表せないとはこの事だ。当人にならないと分からない怖さがある。・・・側で見ても怖いけど。


「…戻ろ」


屋上から飛び降りる、が凛夜の身体能力を持ってすれば造作ない。音もなく着地し何事もないかのように他の生徒と共に体育館へ向かう。


「なに、いまの。なにが起こったの?」


約1名にその一部始終を見られていた。当然凛夜も気が着いてはいた。


まさか、学院レベルで一瞬ではあるが俺の動きを見る事ができる奴がいるとはな。そんな事を思いながら、まあ悪意などの類は感じなかったからいっか!と軽い感じで流した。案外この学院生活も楽しいかもな、と思う凛夜であったーーー。


「まだ時間は充分ありますので慌てないでゆっくりお進みください!」


生徒会の人だろうか。結構な人が集まっているので誘導している。


「前の方がまだ空いてますので出来る限り前からお座り下さい!」


ま、いうよね。そりゃいうよ。でも僕前はやだもん!後ろがいいもん!と幼稚園児のような問答を心の中でしながら悠然と後ろよりの前に座る。・・・この男はアンパイを選んだ。この絶妙に後ろではなく前でもない、1番何とも言い難い所に座ったのだ。


紫苑が1番前の席に座っている。凛夜ほどの腕ならこの大勢の中から見知った魔力を見つけ出すなど造作もない。


そっちを見ると何故か紫苑がコチラを向いていた。


・・・ため息つきで。


良いじゃんか!別にここに座ったって!あのアナウンスされて後ろの方に座るより断然いだろ!?俺悪くないもん!などと考えていると、


「よぉ!隣いいか?」と筋肉ムキムキのちょいイケメンが立っていた。


「ああ、ちょうど空いている」


「おお、そうか!」と言いどかっと椅子に座った。


「なんでこんないい席まだ空いてんのかと思ったらお前が居たからか!お前みたいなイケメンの近くなんて中々行けねーぞ!」と笑いながら言う。


「ああそうだ、俺はカイ! カイ・シルバーだ。よろしくな!」


悪い奴には見えなそうだ。


「俺は萩野凛夜だ。よろしくな。」


「そうか!じぁ凛夜って呼ぶな!俺の事はカイって呼んでくれ!あ、そうだ!パワスタも交換しようぜ!」


中々グイグイくる奴だ。が、悪い気はしない。


「ああ、勿論だ、カイ」


「ところでよ凛夜。お前なかなかやるだろ?」ニカっと笑いながら尋ねてくる。


「なんでそう思うんだ?」


「俺の感ってのもあるが、まあ、俺の親父に似ていたんだ。俺の親父は軍人で良くその軍人仲間も俺の家に来ていた。お前からは親父達と同じ空気を感じる。横に居ると尚更な!」


「…怖いか?」と尋ねると、


「怖い?何故だ?こんな強そうな奴が同い年で知り合いだなんてチョーラッキーじゃないか!」


面白い奴だ、本当に。


「俺以外に知り合いはいるのか?」


「いーや、凛夜だけだ!そっちは?」


「妹がいるぞ」


「妹がいるのか!凛夜の妹だ!間違い無く美人だ!紹介してくれよ!」


「辞めてくれよ全く」


ガハハハ!と笑う。いいやつそうだ。


そんな事をしていると照明が落ち、喧騒が徐々に落ち着いて行く。そろそろ時間のようだ。


「これより入学式を始めます」


凛夜の長い学院生活の始まりだーーーーー。






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