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十英傑の影なる王  作者: よどすけ
4/14

4.出発

あのジジイ、世界連合日本支部長官、秦辰吉はたたつよしから学院に通えと言われてから凛夜は直ぐに準備を始めた。


「全く、なんでいつもいつもあの人はこうも急なんだ」


「まあまあ、長官もいつも1番頑張ってくれている君を思ってるだろうから、許してやってください」と苦笑しながら言うこの人は長官の秘書の1人、河合玲かわいれいだ。


「分かっていますよ、河合さん」


確かにあの人には感謝している。まだ幼くもあれに選ばれた俺に色々と便宜を図ってくれた人だ。感謝してもしきれないぐらいだ。


「君の持つカバン以外は既に家に送ってるからね」


「ありがとうございます」


「また会ったら学校での話も聞かせてよ?出来た彼女の話もね?」といつもの爽やかな笑顔で言ってくる。


「河合さん、まだ気が早いですよ!彼女なんて俺に出来るか分かりませんし」


「君で出来なかったら世の中の大半の男が出来ないじゃないか! もっと自分の容姿に自信持ちなよ、そんな様子じゃ、学校の男子に恨まれるぞ?」とおどけた様子だ。


「そうですかねぇ」と鏡を見ながら前髪をいじる。


「髪は糸のように細くしなやかな銀色、肌もあの前線に居たとは信じられないぐらいに白く傷跡一つない。目も切れ長で凛としていて鼻も高く筋が通っている。それに性格もたまーに捻くれている時はあるけど良い。こんな優良物件は学校の女の子が放って置かないよ!」


確かに、自分の顔の事はあまり分からないが、髪のきめ細やかさには自信がある。


「まあ、そう言うことにしておきましょう」


「君の学院の話、アンディーさんにしよっかなー?」


それを聞くなりすぐさま「辞めてください!それだけはお願いします!あの人怖いんです、いつもは本ばかり読んでるのに俺が近くを通ると抱き着こうとしてくるんです!」


アンディーさんとは、アンディー・ロンソンのことだ。凛夜と同じ十英傑の1人。戦い方は魔法のみ。が、魔法の使い方、魔力の量どれをとっても世界中でもトップ。十英傑もうなずけるほどに。


思い出しただけで震える。それは1年前の例の会議が始まる前に起きた。


「凛夜、お前もだいぶ顔が整ってきたな。中々イケてるじゃないか!」といつも元気なライアンさんがバシバシと俺の背中肩を叩きながら言った時、「ホントだな、凛夜、僕にも見せてくれないか?」と今まであまり喋らなかったアンディさんが急に話しかけて来たと思ったら俺の背中を撫でだしたのだ。


「な、何をするんですか!」


「はは、すまないね、ついその鍛えられたら身体を触ってみたくなってな」


・・・・沈黙だった。その場にいた全員が。


今までそんな素振りは見せた事無かったから皆何も言えなかったのだ。


「アンディ、お前…」あのバルザードさんでさえも顔を引きつらせていた。


それに目がガチだった。噂程度には聞いていた。男を食う男がいると言う事を。


あれは俺が覚えているうちで1番の恐怖体験だった。


「ははは!冗談さ、そんな事はしないよ!」


「ホントに頼みますよ…」


本当に精神が参ってしまっている。


「まあ、学校を楽しんできたまえ!今まで楽しめなかった分、存分にな! 車は表に用意してある、そこから飛行機だから多分向こうに着くのは夜になるだろうね」


「わかりました、河合さん色々ありがとうございます」


「いいんだよ!君にはお世話になったしね。じぁまた会おう。」


わざわざ車までついて来てくれ、手を振っている。

俺も返すように手をヒラヒラと振る。


凛夜はこれから始まる学院生活に想いを馳せながら車に揺られるのであったーーー


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