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〜23歳

作者: 哀川

美しい話を書きたいと思いました

 君と知り合ったのは何年も前の話だ。中学校に入学した時に隣の席に座っていたのが君だった。落ち着きのない他の生徒を見て頬杖を付きながら微笑んでいた君は大人びていて、とても奇麗な黒髪で、要するに私は大人の雰囲気を漂わす君に釘付けになっていた。今思い返してみると、それは一目惚れであり、憧れであり、私の片思いの始まりだった。

 当時は携帯電話を持っているのは一部の生徒だけであり、私もその例に漏れず持っていなかった。君も同じだった。私は必死に話し掛けて君の趣味を探って一生懸命その事について調べ話をあわしていた。君は見透かすように軽く微笑んで優しく相槌をうってくれていた。その笑顔が眩しくてもっと見たくてさらに必死になった。帰り道が同じ方向だったためわざとらしく校門で待ちながら一緒に帰ったりもした。翌日冷やかされていた君は困っているように見えた。私は冷やかされてもなお嬉しくて照れくさく頬を染めるばかりだった。

 私は他の友人に誘われて何となくで入った陸上部で、君はどこのクラブにも所属していなかった。理由を尋ねた時、君は体が弱くて激しい運動をする事ができないと、寂しそうに笑っていた。できる事なら一度くらいは体が壊れてしまうくらい走ってみたいと言っていた。私は何となくで入った部活動でも必死に練習に取り組むようになった。君が走れないなら私が代わりに壊れてしまうぐらい走ろう。そう思って本当に必死になって走った。

 二年生にあがった頃には回りの学友から既に暗黙の了解で私たちは恋仲であるように見られていた。私は未だに君に想いを伝える事はできなかった。ありきたりだ。今の関係が壊れてしまうのが恐ろしかったから言い出せずにいた。彼女は美術部に入った。授業内で教師の目に留まり、先輩からの熱烈なアプローチに負け、入部したそうだ。根負けして入ったという割に君は嬉しそうに部活の話を私にした。その場に私がいなかった事がなぜか悔しく思い。素っ気なく相槌を打っていた。本当は君が楽しそうに放課後美術部に行く後ろ姿がとても奇麗で、いつも付いていきたくて、その時に君が振り返って言う「また明日」と笑顔がとても美しく、愛おしかった。

 君は夏休みの前に告白された。私はその時本当にどうしたらいいのかわからなくて、君にひどい事を言った。君は始めて怒った。私は最も見たい顔から最も遠い顔を見せられ戸惑い、泣いた。そこからはよく覚えていない。気がついたら三年になっていて、君の顔をしばらく見ていない事に気がついた。君はなんとかという賞を取り、学校で少しだけ有名人になっていた。私はというといつの間にかクラブも除籍になっていて学友も一人もいなくなっていた。私は夜の街に出るようになった。煙草と酒とSEXを覚えた。学校には行かなくなっていた。眉毛の無い、髪の色が派手な、やたらと露出の多い友人が多く出来た。全てが足りない日常を一年間送った。両親に高校ぐらいは出てくれと言われて入学した高校でまた君に出会った。


続くかな?

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