或る酔狂な自然哲学者の噺
色々修正せねば……
東暦2018年 1月15日
遂に血迷ったか。私が、この機関が無ければこの国はとっくの昔に滅びているというのに。
安倍晴明寺がここまで思慮の足りない小僧だとは知らなかった。何が「私さえ居ればこの国は浄土へと到れる」だ。たかが安倍晴明の子孫で、その上類稀なる才覚が有ろうと、人である事には変わりないというのに……
私はいざと言う時についていない。あと8年程早く第一層の解放に成功していれば、実験も円滑に行われるというのに……
しかし…予算を打ち切られないだけマシ、なのだろうか……
駄目だ、頭の整理が追いつかない。
はぁ……現状、更なる成功を収めるしかないのか……
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東暦2019年 1月14日
何故だ?何故予算が零なんだ?取り潰し等という文字が此処にあるんだ?
……いや、解っている筈だ。
実質、移民受け入れの様な法が可決されたのだ。当然、間諜も大量に入り込んで来る。更に、来年にはオリンピックが開催される。この機関を隠すのは普段でさえ重労働なのに、各国の目が集まれば、確実に気取られるだろう。
やっと……やっと第一層の転用方法が確立したというのに。まだたったの一層しか開発出来ていないというのに。
ここまで来ると、巷で目にする、「追い詰められ、遂には自身を実験台にする」という狂った科学者の気持ちが分かる。
だが……私が死んでは、元も子も無い。そんな事をする必要も、つもりも無い。
まだ、500万は有る。端金にしか過ぎないが……予算が無い現状、これを遣り繰りするしかない。少な過ぎるが、こういうものだと割り切るしかない。
時間が無いんだ、どうにかして実験台を入手しなければ。
そう簡単に、精神力の強い子供が見つかるとも思えないが、やるしか無いだろう。
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東暦2019年 8月1日 (終戦記念日)
やった。やってやった。成功だ。この記念すべき日は、図らずして、昔に私が建てたも同然の功績を讃える日と重なっている。私は8月1日に好かれているようだ。
ふぅ……少し浮かれていたな。まだ第一層の実用化が安全に進んだだけではないか。私はその程度で終わらせるつもりもない。
とはいえ、少し位は浮かれたって良いだろう。これならば、もう一度予算を振り分けるだろう。何せ、この技術を利用すれば、人は次のステージへ登ることが出来るのだから。彼奴は土下座してでもこの力を欲しがるだろうな。
それにしても、最近の私は、昔の若さを取り戻したようだ。まぁ、最盛期には及ばんがな。
これも、実験の成果だろうか?後程、調査しておこう。
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東暦2019年 9月2日
すぐこれだ。上げて落とす。私の人生はこればっかりだ。
確かに、実験費は元に戻った。しかし、彼奴の反応がどうもおかしかった。力を追い求める彼奴にしては、淡白過ぎる。
そう思い、内密に内閣府を追ってみたが、案の定黒だった。彼奴等は、私を処分するつもりだった。
はぁ……あの日の誓約は、破られた。もう、この国と共にある必要は無い。
せめて、彼奴等の裏切りに、一矢報いて、誰も来ない所へ行こう。はは、重要なイベントを目前にして全てが崩れ去るのだから、さぞ苦しかろう。
私の体は、若返っている…という訳ではなかった。それどころではなかった。時間を巻き戻している、といった方が正しい。
まだこの現象については未知数だが、調べ甲斐は有りそうだ。溜め込んだ裏金や貯金を切り崩し、個人で実験でもしよう。他の奴等は、放っておいていいか。私を売った奴等など、殺処分がお似合いだ。
私は、成し遂げるだろう。世界を変革し、人間を最上位へと到らせるという偉業を。そして──────
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