魔素考察
角兎の死体から取り出した種のようなものを四号が飲み込む。
これで得られる能力次第で今まで立てた予測が正しいのかどうか判断することができるはずだ。
結果、この角兎から摘出した種のようなものに宿っていた能力は察知の魔法であった。
このことから種族ごとで発現する能力は固定であるという予測が正しいという可能性がかなり高くなった。
今後も検証が必要ではあるだろうが、とりあえず今のところは種族ごとで特定の能力を持つという前提で考えて行くこととなるだろう。
さて、角兎から察知の魔法を得ることができたので現在は一号と四号がそれぞれで察知の魔法を所持している状態となっている。
それぞれで察知の魔法を発動してみたが消耗や効果範囲など使い勝手も変わらないようだった。
ちなみに消耗というのは魔法を使ってどれだけ疲れるかという風に捉えてもらって構わない。
ゲームなんかと違ってMPみたいな明確な数値が出ているわけではないし、全くの無制限で使えるような都合の良いものではない。
無闇矢鱈と魔法を使えば、それは空腹や眠気といった形で現れることとなる。
詳しくは紬も把握できていないが、体内の魔素が関わっているのだろうと予想している。
とは言っても魔素を消費しているという感じではないと紬は漠然とだが感じている。
正しいたとえであるかは微妙だが、呼吸における酸素と二酸化炭素の関係に近いと紬は思っている。
あるいは充電式の電池でも説明しやすいかもしれない。
魔素を消費して魔法を使っているのではなく、魔素が持つなんらかのエネルギーを使っているだけであるようなのだ。
魔法を使う度に魔素が持つエネルギーが減っていくが魔素自体は減っているわけではなく、時間の経過あるいは食事などで空っぽになった魔素にエネルギーが補充されているというような感じであるらしい。
まあ、あくまでも紬の魔法を使った時の感覚から予想されたものであるが大きく間違っているとは思っていない。
ともかく魔法を使う度に火花を発し苦しむということはないが、全く消耗がないわけではないのであった。