察知の魔法
さて、この察知の魔法についてであるが取り込んだ羊のみしか扱えないなどということはなかったのだが、全ての羊が同じようにこの魔法を使えるというわけではなかった。
というのも、バロメッツ特有の事なのかもしれないが種のようなものから得た能力は植物本体と接続状態にある羊とで受け渡しができるという仕様のようなのである。
なので現在は種のようなものを直接取り込んだ一号にその魔法が宿っている状態であり、その能力は接続状態の植物本体に渡すことができる。
そして植物本体に渡した状態になると接続中の羊たちは全員がその魔法を使用できるようになったが、切り離すと察知の魔法は使えなくなってしまう。
切り離す前に能力を渡しておけば切り離したあとでも察知の魔法は使えるが、今度はその羊のみしか能力を使えないという状況になるようだった。
ようは植物本体とそれに接続中の羊たちだけのパターンか、能力を渡された特定の羊のみが使えるというパターンのどちらか一方だけであるわけだ。
ちなみにであるが、種のようなものを取り込んだ時に樹海で見張りをしていて植物本体と接続していなかった若葉色の四号にも、あとから植物本体と接続した状態で察知の魔法の能力を渡すこともできそうだと紬はなんとなくであるが感じ取っていた。
ゲーム風に説明するならば、付け替え可能なスキルといった感じで、覚えたスキルは装備しないと使えないというようなところだろうか……。
そう考えると、もしかしたらもう一回種のようなものを角兎から手に入れることができれば別々の羊に能力を付与することができるのかもしれないなと紬は考えた。
それも今後機会があればということになるだろうが要検証としておくべき案件だ。
今回はたまたま角兎を倒せたわけだが、新たな角兎を見つけ出すのも容易ではないだろう。同じ能力の種のようなものを手に入れることができる可能性は未知数である。
とりあえずは今できることを淡々と着実にこなしていくことぐらいしか自分ににはできないのだと紬は気持ちを改め、邁進することにしたのだった……。
残業続きで投稿タイミングが不安定となっております。
残業して帰宅したら日付変更目前でした……。