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サラマンダー




 穴兎のあともリスやネズミといった小動物を水塊に閉じ込め屠ることに成功した紬。


 そろそろもう少し大きな生物相手に練習をするのもいいだろうと思っていた時、ソイツは現れた。



 サラマンダー。


 その語源はギリシャ語の火のトカゲを意味する。


 その名前は四大元素を司る精霊のうち、火を司る精霊として有名である。


 トカゲやドラゴンの姿をしており、火や溶岩の中に住むと言われる火を司る精霊……。


 などといった空想の存在が紬の前に現れたわけではない。


 それは前世においても実在した生物。


 ファイアサラマンダー。


 トカゲなどの爬虫類ではなく両生類。サンショウウオやイモリを思い浮かべてもらえればその姿は想像がつくかと思われる。


 その名にあるファイアとは炎の意味ではなく毒を発射するという意味のファイアーだ。


 そんなサラマンダーが今、紬の視界内に存在している。


 ただしそれは本来の大きさであるセンチ台のサイズではない。


 数メートルに及ぶ体格を有するサラマンダーが、この樹海の中を闊歩しているところに紬は遭遇したのだった。


 

 もう少し大きめの相手に水塊の攻撃を試したいと考えていた紬であったが、ここでサラマンダーという相手と遭遇したのがちょうど良かったとはどうしても思えなかった。


 数メートルというサイズを持つということは、このサラマンダーは種のようなものを持つ可能性がある。


 つまりそれは魔法を使ってくる可能性があるということだ。


 種のようなものを持つ異形との戦闘を見越しての戦闘練習であったわけだが、初見の相手だと相手がどのような魔法を使ってくるのかわからないため、紬が勝利することができるか不安が残る。


 もしかしたら体が元から大きな種類なのかもしれない。恐竜の生きた時代の生物ならば紬が人として生きた時代よりも大きな体を持つ存在は多かったはずだ。


 まあ、そんな都合のいい話があると本気で考えているわけではない。


 十中八九このサラマンダーは魔法も使ってくるだろう。


 さて、このサラマンダーいったいどうしてくれようと紬は思案する。


 以前、巨大蜘蛛から逃げ出した時は紬にこれといった決定打が打てなかったからだ。


 しかし、今ならば自身の魔法を意識した紬であるならば種のようなものを持つ異形の存在と殺り合っても競り勝つことは可能だろうと紬は考える。


 絶対にここで戦わなければならないという理由はないのだ。


 あまり時間をかけて考えていても向こうにこちらの存在を気づかれれば紬が取れる選択肢も狭まってしまうだろう。


 そろそろ決断をしなければならない。


 攻めるか引くか、紬が出した答えそれは……。

 





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