魔法考察
改めて魔法と向き合うにあたり、紬は魔法について考える。
魔法。魔の法ということであるからには何か法則あるのだろう。
いや、魔法という単語は紬がかってにそう呼んでいるだけであるので、正直なところそのような事実があるのかは全く判らないのだが……。
なにか取っ掛かりがなければ先に進めそうになさそうだからこそ魔法に関わる条件を探す必要があると紬は考える。
以前は魔法を使うことで生じるスパークに注目しすぎていたところがあった。
しかし、今ではそれは必須条件ではないのだろうと思っている。
少なくともこのバロメッツという存在のウチには魔法を使うための何かが確かに存在しているのだと確信している。
今はまだその使い方を理解できていないだけ。
その使い方を模索することが今自分に必要なことだと感じている紬。
剣鹿のように種のようなものを取り込むことで同じように魔法を使えるようになることができるかもしれない。
だが、それをするためには種のようなものを持つものを倒すことが必要だ。
万全を期して挑めればよいが、それは厳しいだろう。
紬が目にした常識外の存在は風狼、剣鹿、巨大蜘蛛。
蜘蛛以外は群れをなしていた。一対多で勝ちを拾ったサーベルタイガー戦のようにはいかないだろうからだ。
単独であってもあの蜘蛛には勝てるビジョンは見えてこない。
だからこそ魔法という新たな攻撃手段を求めている今があるわけだ。
さて、ここでそれぞれの魔法について考えてみる。
まず風狼の使ったのは風の刃だ。大きく力を貯めることで更に幅広の風の刃も放っていたが、その本質は変わってはいなかった。分類するならば現象系の風の魔法といったところか……。
次に剣鹿の魔法であるが、風刃が外に働きかけるのに対し、剣鹿の魔法は内に働きかけるものだろう。角の強化に脚力の強化。これも分類するならば強化魔法とするべきものだろう。
蜘蛛は……魔法を使ってくるかは確認できていないのでなんとも言えないが、紬はあの蜘蛛もきっと魔法を使えるのだろうと予想している。
ただしそれはひとつだけの種類なのではないかとも考えている。
というのも紬の新たな仮説。異形のものが使える魔法の種類は一種類、という考え方をしているからだ。
風狼は風の魔法のみを、剣鹿は強化魔法のみをと言った具合にだ。
ただし、例外として他の種類の魔法を使うものから奪った種のようなものを取り込むことで相手の使っていた種類の魔法も使えるようになる。
だからあの時の剣鹿は強化と風の魔法を使えるが、他の剣鹿で他の異形から種のようなものを取り込んでいないものがいたとすれば、そいつは強化の魔法しか使えない。
そんなふうな法則があるのではと紬は考えている。
つまり種族ごとに基本の魔法が異なっているという説だ。
なのでバロメッツである紬は基本の魔法が風の魔法ではないためにいくら風を起こそうと頑張っても発動できないのだと考えた。
ではバロメッツの基本の魔法とはなんであろうか?
答えは既にでていた。
火花が出ないから魔法ではないとした能力がある。
葉力と呼んだ能力だ。
葉力は紬が使った魔法だった。
しかし、ただ葉っぱを動かすだけがバロメッツの基本の魔法ではない。
あくまでも葉力は紬が使っていた魔法の一端に過ぎない。
五号が飛ぶことも紬の魔法であるし、茎や蕾に根を動かすことも、一号たち羊を動かすこともバロメッツの使える魔法だったのだ。
紬はひとつの結論を出した。
バロメッツの基本の魔法、それは動かす魔法である。
今日の話を書いてる途中の調べもので初耳だったこと。
現象の対義語・反対語って本質、本体らしいです。
初めて知りました。
現象系に対して本体系としようかと最初は思ったのですが逆に解りづらくなりそうだったのでやめました。