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生物濃縮





 バロメッツの葉っぱを食べた動物が見せた反応は、以前に若いシカの一頭が種のようなものを飲み込んだ時に見せた反応に非常に似ていると感じた紬。


 今までのことから種のようなもの、カルデラ湖の水、そしてバロメッツの葉っぱに何か共通する部分があるのだろうと予測をつける。


 ここで紬はひとつの単語を思い浮かべた。


 生物濃縮。


 生態濃縮や生体濃縮とも呼ばれるそれは、ある種の化学物質が生態系での食物連鎖を経て生物体内に濃縮されてゆく現象のことだ。


 わかりやすい例を挙げるならば、水俣病も工業排水に含まれるメチル水銀が魚によって生体濃縮されたものを食べた人達に発症した水銀中毒だ。


 つまり何が言いたいのかというと、スパークの原因となっている何らかの物質がカルデラ湖の水に含まれており、そこから水を吸収したバロメッツの葉っぱに濃縮されているのではないだろうかということだ。


 濃縮されていたからそれを食べたものの反応も大きくなったのだろうと紬は考えた。


 そして種のようなものはその物質が濃縮されてできたものであり、その物質が起こす現象に耐えられる生物の体内に蓄積していき、その生物を食べたものへと食物連鎖を経て濃縮されていくのではないだろうかとも推察した。


 その物質によって魔法などの非現実的な現象を起こしているというのが紬の予想だ。


 紬がカルデラ湖の水を摂取して平気なのは耐性かなにかがバロメッツに備わっているのだろうととりあえず思考を放棄。


 耐性が高いから火花も出ないとでも考えておかないと考察を前に進めることができない。


 もう耐性があるものと仮定して話を進めるが、それを摂取した紬に対してその物質が起因して、バロメッツという存在そのものであったり、翼を持つ黄金の羊だったりといった非現実的な現象として現れているのではないかと予想してみる。


 全てがこの予想通りとはいかないだろうが、この予想を念頭に置いて判断を降せば完全に間違っているということはないだろう。


 そして耐性があるものはより多くを蓄積して使える力を大きくしたり、力の種類を増やしていけるのだろう。


 紬であれば自身の成長や葉力といった能力に、剣鹿であればその剣のような角や脚力の強化魔法に、風狼であればその体格や風刃の魔法にその物質が関わっていて、スパークはそれらの現象を起こす際に起こる副作用。


 紬には高い耐性あるいは高い適性があって発生しないが、耐性か適性が低いものは拒絶反応のようにスパークが副作用として発生していたのではと考える。


 水を与えた植物が枯れてしまうのも拒絶反応のような副作用で、その物質による成長効果に対する副作用のダメージで枯れてしまっているのかもしれない。


 カルデラ湖周辺に生えている雑草が一種のみなのは、その物質に対する適性が高いあの種類のみがあの場所に生えることが可能だったということなのだろう。


 あの雑草を集めて草食動物に食べさせたなら小さいものならば火花が出て、シカくらいのものでも耐性が低ければ拒絶反応として火花が飛び、耐性が高ければなんの問題もなく取り込むことになるのだろうか?


 カルデラと樹海とを往復してカルデラ湖付近の雑草を草食動物に与えて観察しないといけないかなと紬は新たな方針を決めた。

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