実験結果
数日にわたる実験から紬はいくつかの発見を得ていた。
それらの事実から今まで判断がつかなかったものについても、ある程度の推測ができた。
まず間違いないのは、湖の水が普通ではないということだ。
湖の水を与えた生物はことごとく火花を出している。
これは小さな芽もそうだったのだ。
湖の水を与えた直後に芽を千切ってみたところ切り口からパチパチと小さな火花がでたのだ。
このことから外部にまで漏れていなかっただけで、今まで枯らしてきたプランターのものも同じように内部でスパークが発生していたと考えられる。
さらに対象が大きくなればなるほど外部にまでスパークが出てくる確率が高くなる事がこれまでの実験からわかった。
樹海の木々に与えたところ火花が出る確率は大樹のほうが割合が高かったのである。
ぱっと見で火花が出ていないものも枝を折ると、その折れた箇所から火花を確認することができた。
実験は植物だけでは終わらなかった。
樹海に住む動物たちにも調査は及んだ。
彼らの行動範囲に立体印刷で作った容器の内側に葉っぱを敷き詰めて水漏れを防いだものを用意して、そこに湖の水を入れておいた。
その水を飲んだ動物たちを隠れて観察したのである。
こちらの結果はというと基本的にウサギやリスといった小動物たちは湖の水を口にすると苦しみだしてすぐに水を吐き出してしまった。
シカなどの動物やラプトル系の恐竜くらいのサイズのものは注意して観察すると火花が出ていることがわかる程度であったが、吐き出すものも居れば逆に吐き出さないものも居て個体差があるようだった。
その個体差も体格の大きなものほど吐き出さない感じで、サイズの違いが関係していることは疑いようがなさそうであった。
その実験時に起きた想定外として、水漏れ対策に敷き詰めていた葉っぱを食べたシカがいたのだが、その鹿は葉っぱを口にすると水を飲んだ時とは比べ物にならない程に火花を散らしながら苦しみだし、その葉を吐き出したのだった……。