プランター
五号が成ってから一週間ほど経過したがまだ切り離すことはできていない。
翼があるせいなのか五号の成長速度は他の羊たちよりもゆっくりであった。
初フライトはまだまだ先になりそうである。
それでもゆっくりとではあるが成長しているだけこちらはマシであった。
一号と四号とで樹海から腐葉土を運んできて立体印刷製のプランターに入れ、いろいろな植物を植えてみたのだが経過は芳しくない。
以前と違ってほとんどのプランターから芽が出た点は良かったといえる。
わざわざ腐葉土を運んできたことは無意味ではなかったようだった。
しかしその後がよろしくなかった。
またしても芽は全滅してしまったのである。
以前の考察では問題があったのは土であると考えた。
だから腐葉土を運んできて再挑戦したのだが、結果はまたも全滅。
これは土以外にも原因があると考えなければならないのだろう。
水、日光、は大丈夫だろうとして栄養のために腐葉土も用意した。
あとは何が足りていないのか……。
温度や湿度、季節的なものも要因として考えられるかもしれないと思いつく紬。
しかしそれでも全てが枯れてしまうのはおかしいのではないかとも紬は思う。
改めて辺りを見渡す紬。
生えているのは雑草と紬だけだ。
よくよく観察してみると生えている雑草の種類も単一であり、このカルデラには雑草とバロメッツしか生えていない事に気が付いた。
もしかすると場所そのものに問題があるというのだろうか?
紬が気にならないだけでここの環境が他の植物には非常に厳しいものだという可能性も視野に入れておくべきか……。
とにかくトライアンドエラーだとプランターに新しい物を植えていく。
検証のために今度はプランターを樹海まで持っていって他の動物が見つけなさそうなところで栽培に挑戦してみることにした。
水の調達がネックになりそうだが雨でも降ればなんとかなるだろうと紬は考えている。
川のひとつでも見つけることができていたならばよかったのだが一号が探索した範囲では見つかっていないし、あまり遠くに行くのも大変であるし危険だろう。
今できる範囲でコツコツと。
時間はたっぷりとあるのだからと紬は焦らずのんびりとしていたのだった……。