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翼を持つ黄金の羊




 珍しい黄金色というだけでなく翼もついたせいで成るのが遅かったのかもしれないなと思ったりしている紬。


 黄金の毛色を望んだのは紬自身の希望が新たに成る仔羊に反映されるかどうかという実験的意味合いがあったのだが、結果はそのさらに上を行った形となった。


 まさか翼までついてくるとは思っていなかった紬。

 これで次の仔羊も紬の考えが反映されたならばもう間違いないだろうと思うが、次はどうしようかと紬は考える。


 五号が金色だったので次は銀色とかどうだろうかしらと考えつつ、翼がつくのは黄金の毛色のものだけなのだろうかと新たな疑問が生まれていた。


 ということで何事も挑戦だと、翼のあるシルバーな仔羊が成りますように……と願う紬であった。

 


 さて、黄金の羊の翼を使って空を飛ぶことができるのか試してみたいところではあるのだが、まだ五号は成ったばかりの仔羊なので切り離せない。


 もし切り離そうものならば二号と同じ末路を辿ることになってしまうだろう。


 そんなわけで五号の試験飛行は成長するまではお預けである。


 だがもしも上手く飛ぶことができるのならかなり有用であろう。


 どのくらい飛べるかわからないが、移動のために障害物や地上の野生生物を無視することができるとすれば便利であるし、高所から探索や索敵ができるというのはかなりのアドバンテージとなるだろう。


 あとは空輸なんか出来たらかなり楽になるなと紬は思う。


 どれくらいの量を運べるかわからないが、樹海から腐葉土を運ぼうと考えていた紬にとって運搬手段が増えるかもしれないという可能性は大歓迎である。


 そういえば羊たちがどれくらいの力を持っているのか把握していないな、と気が付いた紬。


 そしてよくよく考えると羊たちのスペックについてはほとんどノータッチだったなと思った。


 しかしいざ把握しようとすると、イマイチどのようにすればいいのかわからない。


 例えばどれくらいの重さを運べるのか調べようと思っても、その重さがどれほどのものかわからないのだ。


 この場に重量計のようなものは無い。


 対象をはかる基準がないといろいろと不便である。


 その基準というのは重さだけではなく長さや時間など諸々について、基準ありとなしでは利便性に大きな差ができると改めて感じていた。


 力の基準といえば馬が荷を継続的に引くことができる仕事率を一馬力というのだったっけ…と思い出す紬。


 ならば羊たちの仕事率を基準にすれば一羊力か……。

 あれ? 葉力となんだか被っている気がする……。

 というか馬力だけでもいろいろと種類があるんだっけ? 仏馬力とか英馬力とかがあるんだって誰だったか薀蓄を披露していたなぁと思いだしていた。


 そんなふうに思考がどんどん脱線していって結局その日も紬は羊たちのスペックを確認することはできなかったのだった……。

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