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種も仕掛けもございません

 


 とりあえず状況を整理しながら推理してみることにする紬。


 埋葬していた二号が消えた。


 これが推理小説なんかだと犯人の共犯者がアリバイづくりのために遠くへと移動させたりだとか、犯行を知ってしまった誰かが犯人をかばうために動かしたりといった偽装工作なんかだったりするのかもしれない。


 しかしここに居るのは紬のみである。足元……ではなく根本にあった墓を紬に気が付かれずに細工するなど不可能だ。

 三号が寝ていたとしてもそのときは若草色の四号が起きていたので隙はなかったはずである。


 ということで他者の介入はないと判断できるだろう。


 というよりもそもそも犯人も共犯者も犯人をかばう者も居るはずもなし、牝鹿を殺したのも不注意で二号を殺したのも紬だといえる。

 犯人はこの中にいる……となったら紬以外の選択肢がないのでこんな考察は時間の無駄である。

 これは推理小説でもサスペンスドラマでもないのだ。



 ではなにに焦点を当てるかといえばやはり魔法の存在だろう。


 風の刃を操った風狼に七支刀のような角をもつ剣鹿の使ったのは身体能力の強化か何かだろうか……。


 紬が目にした異形の動物が使ったのは魔法と呼べるものだったであろう。


 紬の生まれ変わったバロメッツという存在もまた異形と呼べる存在と言えるだろうと紬は考える。


 ならば自分も魔法が使えてもおかしくないのではという考えに至り、魔法を使うものと関係のありそうな種のようなものを二号の中から見つけられるのではという期待があったわけだが、二号を埋葬していた墓はもぬけの殻だったので紬の思惑は外れてしまった形となった。


 そこで死体が消えてなくなったのは光の粒になってしまったのではと思うわけだが種のようなものも見当たらない。


 種も仕掛けもなく死体が消失するとは、これがホンモノの魔法(マジック)か……多分違う気がするなぁなどと考える紬。

 だがそれでも魔法とどこかは違うのだろうが無関係とはいかないだろうとも同時に思う。


 紬が魔法と種のようなものと死体の光化現象の関係について、いくつかの仮説を立てたのは次のようなものだ。


 種などなかった説。

 ただそれでは死体が消失していることが説明できないのでこの説は微妙だと紬は思っている。



 種はあったが小さくて見逃した説。

 二号は成長しきっていなかったのでまだ仔羊サイズだった。取り巻きのオオカミから見つかった種のサイズですでに小さかったのだから仔羊の二号から種が出てもさらに小さかった可能性があると思われる。

 しかしボスオオカミの方が取り巻きよりも光の粒になった割合が多かったことを考えると種が小さいほうが死体の損耗が少なかったのだから二号が跡形も残っていないのは整合性が取れていないと言えるのでこの説も紬はあまり支持していない。



 種はあったが時間経過で死体とともに種も光の粒になって消えた説。

 種のようなものはシカに取り込まれたのでそのままにしていた時どうなるのか紬は知らない。なので種も死体と同じように光の粒になってしまう可能性があるのではないかという説だ。

 割とこの説は可能性があるのではないか紬は思っている。


 そもそも種のようなものと死体の光化現象に因果関係は全く無い説。

 一緒くたにすること自体が間違っているパターンで魔法を使うものに種のようなものがあり、異形のものは光の粒になるのがこの世界の常識であるという説。

 最初に挙げた説を補強した説だがこの説が正しいと種のようなものがなかった紬には魔法が使えないということになるので違って欲しいと思っている紬。



 紬がぱっと思いつくものを挙げてみたが果たしてこの中に真実はあるのだろうか?

 なんにせよ紬には情報が全然足りていない。

 効率よく情報を収集する方法についても考えて行かないといけないなと思う紬であった……。

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