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並列思考



 多頭のケルベロスやヒュドラなんかもこんな感じなのかなと紬は疑問に思った。

 新たに木になった仔羊の分、頭が増えた紬はその不思議な状態について思いを巡らしていた。

 一号と二号のそれぞれの視界でものを見ているのはもちろんのこと。紬の思考すらもそれぞれの頭で別々のことを同時に考えることができるのだ。

 

 並列思考。デュアルコアでマルチタスクな感じだ。

 これを利用するとできることが広がる。

 眠りが必要となっていた脳を交互に眠らせることでずっと視覚を確保することができるようになったし。二号の脳から一号の身体へと命令を送ることなんかもできた。

 右手で○を書きながら左手で△を描くなんてことも余裕で可能だろう。まあ蹄のためペンなど持てないのだが……。


 とりあえず便利な利用法は追々考えていくことにして、早速かねてからの実験に移ることにした紬。


 一号の茎を切り離す実験である。


 念の為に二号のを一号の首に巻きつけた状態にしておいて、いつでも処理を行える備えをした。


 そして切り離し。ただ念じるだけでなんの抵抗もなく茎は一号のへそから切り離された。少量の体液が零れ落ちただけである。

 一号との物理的な繋がりが断たれたのにも関わらず、その全ては未だ紬が掌握したままの状態であった。目に見えない不思議な力でバロメッツ本体と一号は繋がった状態であるようだ。

 どうやら杞憂であったらしいと紬は思い、首に巻きつけていたのを開放した。


 改めて確認してみるがどこか異常があるようには感じられない。

 これならば大丈夫そうだと考え紬は次の行動に移ることにした。

 まずは腹ごしらえ。湖からの水だけで今まで誤魔化していたのでとりあえずコードレスになった一号で自由に歩き草を喰む。

 これで一号の活動範囲は制限がなくなったと考えて良いだろう。

 もしかすると距離が離れ過ぎると接続が切れたようになってしまう可能性もあるかもしれないが……。



 草を食べて満腹になった一号。

 流石に物理的に離れているため栄養が植物本体に送られることはなかった。

 逆にいえば独立した一号は根からの水分と栄養の供給がなくなったということになるのか。……もう一度茎と繋げれたりしないかな? と思い立ったが吉日とりあえず試してみる紬。


 結論から言えば普通に茎は再度繋ぐことが可能であった。


 相互に水分や栄養のやり取りも再び可能になった。再び切り離すことも可能。

 つまりコストは切り離しの際に零れ落ちる体液の分くらい。それだけで自由に歩けるようになったわけである。


 離れた場所から草を食べたあとは植物本体へと戻りチャージする。


 もうこれコードレスの掃除機なんじゃないかなと思わずにはいられない紬であった……。


 

 

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