銃
破裂音とともに鉄でコーティングしていた頭部に衝撃を受ける。……が予期したほどのダメージはなく、刺突剣の攻撃のような致死性のある傷も受けていなかった。
その答えはスケルトンの左手に握られていたソレが落ちている姿を見てわかった。銃身が破裂し銃としての用をなさなくなった拳銃の姿。
紬が知る由もないことであるが、この銃は湿気を多く含んだこの場所に数十年以上メンテナンスもなしに放置されていたのだ。その結果錆つき詰まって弾を打ち出すことができずに破裂してしまったのだった。
至近距離での破裂であったためにそこそこの衝撃を受けたものの、弾が発射されることなく、破片が飛んできたのが当たっただけだったために鎧を貫通するような事はなく被害らしい被害を紬は受けなかった。
逆に左手に持っていた拳銃が破裂したために大きなダメージを受けてしまったのはスケルトンの方だ。握っていた左手の指は砕けてしまっていた。
スケルトンよりも早く正気に戻った紬はそのまま突っ込んで押し倒し、頭を踏み砕いた。頭蓋の眼窩に灯っていた光が消える。
予想外の終わり方をしたが、スケルトンの方もこのような結果になるとは考えていなかっただろう。
そして砕けた頭蓋骨も身体の骨も光へと解ける……。そこに残った赤い石……と種のようなものが混じりあったような物体を目にした紬は、また考えなくてはならない事が増えてしまったことを悟り天を仰いだ。
船内で繰り返されたいくつもの戦闘に疲れが溜まっているところに新しい情報が増えていく。この部屋を調べればまだまだ新しく考察する必要がある事柄が出てくるのだろうなとなかば確信めいたものを感じていた紬であったがスケルトンからのドロップに別パターンがあるとは思っていなかった。
これまでの考察も考え直す必要がありそうだが、とりあえずこの船で回収できる情報をかき集めてからまとめて考察し直すのが良さそうだと思い、船長室の探索にとりかかるのだった……。