表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
185/194

知らない銀






 船長室のスケルトンとの戦闘が始まって数分、紬は攻めあぐねていた。むしろ圧されているというのが現状であった。


 その要因の最たるものはスケルトンキャプテンの持つスモールソード。レイピアを小さく軽くしたようなその刺突剣はどのような金属が使われているのか、羊たちに纏わせた鉄のコーティング鎧では防ぎきることができなかったのである。


 戦闘の初手をとったのはスケルトンの方だった。目にも止まらぬフットワークで接近し、刺突剣による突きを放ってきた。とっさに対応した紬は頭を振って角で弾こうと試みて失敗した。


 鉄でコーティングしていたにも関わらず刺突剣を弾こうとした角は切り落とされてしまったのだ。これは危険だとその場から飛び退かなければ殺されていただろう。角だけでなく鎧兜のように頭に纏っていた鉄さえも貫通し、その切っ先は皮膚を裂いて血をこぼさせた。


 これ以上の接近を許さないよう、紬は分枝の魔法で根を何本も伸ばすことで牽制した。スケルトンの戦闘スタイルはヒットアンドアウェイのようで攻め切れないと見るとすぐに距離を取って構え直し、こちらの出方を伺っているようだった。


 薄っすらと虹色の光沢を放つ銀の輝き。そのスモールソードの素材となった金属を紬は知らない。易々と鉄のコーティングを突破したことからかなりの硬度を持つ金属なのだろう。もしかすると前世の世界には存在しなかったこの世界特有のものという可能性がある。


 傷と切り落とされた角は樹皮大蛇から得た再生の魔法を使うことで回復することができた。しかしいくら回復できるからといって無制限に回復できるわけではない。これまでの探索で魔素のストックも潤沢とは言えなくなっているのだ。


 傷を受けた際に鉱物生成の魔法の条件である紬が触れたことのある金属という条件は満たしたことになったので、刺突剣の素材である金属を生成してコーティングすることで防御力を上げて攻撃を防ぎきることができると考えた紬であったが、いざ鉱物生成の魔法でその知らない銀を生成しようと試みたところ、まるで生成することができる手応えを感じることができなかった。


 魔素が足りていないのか、それとも鉱物生成の魔法の練度が足りていないのか、あるいはその両方か……。ともかく今の紬では謎の金属を生成することはできないようだった。


 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ