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船長室





 調査船の探索を進める紬はとある部屋の扉の前に来ていた。恐らくは船長室だと思われる部屋の前だ。恐らくというのは案内板の表記が船の上に王冠という構図からの予想であり、この船で最も偉い人がいる部屋というのを示したかったのだろうと考えたからであった。


 船長室というと食堂のようにナイフとフォークといった簡単な構図で伝わるものではない。少なくとも紬は船長室を示す構図というのはすぐには思いつくことができなかった。キャプテンマークといって思い出すのはサッカー選手のキャプテンが腕に腕章をつけていたことくらいであったし、船長のかぶる帽子で思い浮かんだ海賊帽も調査船であるこの船とは合っていないと紬は感じた。


 そう考えれば船の上に王冠という構図は言葉を使わない表現法で船長を示すには妥当なものだと思われた。そして王冠のマークで高位の存在であるという意味が伝わるのならば王政の国がこの世界には存在し一般常識として浸透しているということが読み取れるのかもしれない。


 そんなことを思案する紬であったが察知の魔法によって扉の向こう側、部屋の中にいる存在が待ち構えているということを把握していた。


 これまでも探索していると部屋に入る前からこちらに気がついていることが多々あった。


 こちらの音を拾っているのかと思っていたが、どうやらそれも違うらしいということまでわかっている。というのも紬は蜘蛛の異形から得た消音の魔法を使って音が立たないように試みたのだが、それでもスケルトンは壁の向こう側から紬のことを把握していたようであった。


 次いで光学迷彩の魔法も試してみたがスケルトンには効果がなかった。そもそもスケルトンの眼窩には目玉がないので視覚があるのか不明である。同様に聴覚もあるか怪しいところであるが、骨伝導的なもので振動を感知している可能性はないとも限らない。念の為に消音の魔法と光学迷彩の魔法と合わせて歩いた時の振動が伝わらないように浮遊の魔法も使って気付かれないように接近を試みたりもしてみたが、スケルトンの仄暗く光る赤い眼光は紬のいる場所を向いていた。


 これらの結果から紬はスケルトンの視覚は普通とは違うものが見えているのだろうと仮説を立てた。それは生命反応を感知しているだとか魔素の動きが見えているだとかそういったものだろうというのが紬の予想である。


 少なくとも紬の今の手札ではスケルトンの感知から逃れる術はなさそうだというのがこれまでの探索でわかったことだった。


 そのように理解してからは紬は部屋の扉の向こうにスケルトンが待ち構えていると察知した場合のパターンというのができていた。この船長室だろう部屋の扉もそのパターンでお邪魔することにした。


 ノックして失礼しますと入室する。ただし扉を蹴破るという少々過激過ぎるノックで圧倒的に礼を失する入室法であった。


 脚力強化の魔法が乗った蹴りによって蹴破られた扉は、部屋の中からこちらを待ち構えていた相手目掛けて勢い良く飛んでいったのだった……。





 

 仕事の納期も目処がついたので今日はおよそ一月ぶりの休日でした。もう少し更新頻度を増やせればいいなぁと思っていますが予定は未定ということで……。


 とりあえずもう少しで投稿開始から一年になるっぽいのでそれまでに紬さんのぼっち卒業目指したいなぁと思ってはいます。

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