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バー(フゥー疲れた)……メェー」


 作業で疲れていた紬が発した鳴き声。羊部分が大人になったためか'バー'に変わっていた。花も恥じらう乙女な紬はその声は可愛くないと思って'メェー'と鳴き直したのだった。

 正直なところ誰も他に聞いていないのだから気にする必要はないのだが紬にも譲れない一線があったようだ。


 先ほどまで紬は穴を掘っていた。

 掘った穴はとりあえず二つである。

 その用途は埋葬。一つはすでに先に殺した牝鹿の亡骸を埋葬する予定で、もう一つは予備である。

 利用できる部分は使い切る。その考えのもとに牝鹿の亡骸は埋めてしまって養分として土に還って貰おうというわけだ。

 

 備えとして予備も用意した。

 今後の予定では羊部分の茎からの切り離しの実験を行う。


 もしも切り離した羊が紬の制御を離れてしまった時の備えだ。


 羊が野生に帰り紬に牙を向くようなことがあれば(羊には牙どころか上顎に歯は存在しないが)牝鹿を仕留めた時のように絞殺し、この穴に埋めてしまうつもりであった。

 あくまで備えでありバロメッツの本能とでもいうのかその勘では問題ないと思っている。


 なんにせよ切り離しを試すのは新たな蕾が開いてからだ。


 最初の蕾の時は視覚がなかったため見ることは叶わなかったが、この新しい蕾は最初の羊の目を借りて外から見ることができる。


 外から見た蕾の色は真っ赤に染まっていた。

 蕾の中身が大きく成長し苞に血のように赤い体液が栄養を送るために集まってきているからのようだ。その赤い液体が透けて見えて赤く色づいているらしい。

 遠目に見ると蕾というよりも真っ赤な果実にも見えた。


 そして十分に栄養を溜め込んだ蕾が開く。中から新たな仔羊が姿を見せた。


 二号の毛の色は茶色っぽい。一号は白っぽかったので木に成る羊の毛の色は特定の色ではないようだ。

 ちなみに区別をするためにとりあえず一号、二号と呼称することにした紬であった……。

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