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迎撃準備






 次の矢が放たれる前に羊たちは亀裂から階下へ飛び降りた。


 前後別々の方向からの攻撃への対処が難しいならば場所を変えるのが早いだろうという判断。廊下の天井は二メートル有るか無いかといったところだったが、裂け目の下は船倉で廊下よりも天井は高かった。なのでそこそこの高さを飛び降りるかたちとなり下手をすると怪我を負いかねない高さであったが、この程度ならばたいした問題では無かった。


 浮遊の魔法や翼を持つ五号が分枝の魔法の根でサポートすることで羊たちは問題なく階下へと飛び降りることができた。


 階下の船倉でも白骨遺体を見つけていたのでそれに警戒したのだが、それは見つけた時と変わらない場所に転がっており、その頭蓋骨から光が漏れ出るような状態にはなっておらず、今のところは動き出したりしないだろうと紬は見なした。


 動き出した骸骨とそうでない骸骨でなにか違いがあるのだろうか?


 そんな考察に走りそうになる思考を、今の優先順位はそうではないと考え直し迎撃のための策を練る。


 何度も復活してくるような相手だ。闇雲に攻撃を仕掛けても効果は薄いだろう。普通の生物ならば頭を切り落せばまず問題無く無力化できるのだが、スケルトンは首を落とされた状態でも行動し襲い掛かってきた。既に生物という範疇の外に存在し道理が通じないということかもしれないが、樹皮大蛇も首を落とした上で頭を潰さなければならなかったのだから今回も同じ要領で頭を潰すことで復活を妨げることができるかもしれない。


 目標は頭部の破壊。そのように方針を決めたわけであるが、先ほどの短いやり取りからわかったことだがスケルトンの骨は存外に硬い。普通の人骨……特に野ざらしとなっていたものは脆いもののはずなのだが、異形となったことで魔法かなにかが効果を及ぼしているのかもしれない。


 そうこう考えているうちにガシャンと音を立て、上からスケルトンが一体落ちて来て床にバラバラとなった。けれどもなんの問題も無いとでもいうようにパーツ単位でバラバラとなってしまっていた骨が集まり組み合わさっていく。肩から手の先までの骨が集まるとその腕は残りのパーツをどんどん定位置にはめていった。


 あそこまでバラバラになればもしかしてと思った紬であったが、そう簡単にはいかないらしい。むしろあの高さから飛び降りてヒビすら入らない頑強さを目の当たりにした。


 酒瓶で殴ってみようかなどと当初は考えていたのだが硬度が足りない予感が紬の脳裏を過ぎる。


 なんにせよやってみなければ始まらない。ここに至っては魔力の消費がなどと出し惜しみしていられる状況ではない。ならばこうするのが正解かと、紬は魔法を行使した。

 



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