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スケルトン




 カラカラ、カタカタと廊下に響く音が増えていく。


 その音の正体はすぐに判明した。


 いくつかの部屋で目にした白骨遺体。それが立ち上がり廊下に歩み出て来たのだ。


 スケルトン。


 前世の世界の創作物ではおなじみの動く骨だ。


 紬の視界に現れたそれらは、筋肉や腱がないのにも関わらず骨だけで直立し、二足歩行で歩み寄ってくる骸骨の眼窩からは怪しく揺らめく仄暗く紅い光が漏れていた。


 先ほどまで紬が中にいた最も近い部屋からもカタカタと音を立てつつ、古びた革鎧を纏ったスケルトンが姿を見せる。


 長剣を紬が回収したためか、その手には蹴り破られた大きめのドアの破片が棍棒のように握られていた。


 その姿を目にした紬はとっさに鎧のスケルトン目掛けて分枝の魔法の根で掴んだ長剣を振るった。


 とっさの行動であったが長剣は攻撃を庇おうと持ち上げられた木片を砕き、そのままスケルトンの首を刎ね飛ばした。落ちた頭はごろりと転がり壁にぶつかる。


 とりあえず撃退してしまったが、どうせこちらもあちらも喋れないのでコミュニケーションがとれそうも無いかと思い、まずは一体……と自身の白星をカウントしようとした紬は目を見張ることとなる。


 首を落としたスケルトンが首から下のみのまま腕を振り上げ襲い掛かってきたのだ。


 よくよく見れば落とした頭蓋から漏れ出る紅い光は健在で、未だに戦意が途切れていないことを物語っていた。


 振るわれた骨腕を躱しながら紬は再び長剣を振るい骨を断とうとするが、斬ることは叶わずぶつかった腕の骨を弾き飛ばす結果となった。


 廊下に転がる左腕。それを追うようにスケルトンは後ずさった。


 そしてスケルトンは落ちた左腕を拾い上げ、そのまま何事もなかったかのように元の位置へ戻したのだった。


 その様子を見ていた紬は思案する。どう対処するべきかということを。


 どうやらバラバラにしたところでスケルトンは健在であるようで、頭を落としても身体は動き、外したパーツも回収されれば元通りということらしい。


 左腕のついでにと革鎧のスケルトンは最初に落とした頭蓋も拾い上げて首に繋げた。


 再生の魔法を持っていた樹皮大蛇とはまた違ったしぶとさは厄介で、更に悪いことにスケルトンは目の前の一体だけではない。


 確認してきた部屋で見た骸骨の数よりもなぜか少ないが、紬が通ってきた廊下には目の前の革鎧のスケルトンの他に二体の革鎧を着たスケルトンの姿がある。


 そして振り返れば、亀裂の向こう側の廊下にも三体のスケルトンが姿を見せていた。そしてそちら側の三体ののうち一体のスケルトンが手に持つものを見た紬は顔をしかめる。


 その手にあったのは弓。ギリギリと引き絞られ張りつめた弦。そこにつがえられた一本の矢。それは間違いなく羊たちに狙いを定めていた……。






 投稿開始から9ヶ月経過となるようです。


 現状を初期プロットと比べると二割増しどころか四割増しくらいで寄り道している気がしないでもないです。


 とりあえずエタらないように気をつけてこれからも執筆頑張ろうと思いますので今後も当作品をよろしくお願い致します。

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