紬さんの生存日記22
百四十三日目
ようやく雨も止んだので激流川下りと洒落こんだ探索組。
なぜ川下りなのか? それは海に繋がっているからだと答えましょう。
モヤシのシャキシャキとした食感に味をしめた私の食に対する欲望が囁くのです。もっと他のものも食べたいと……。
そうとは言ってもまさか羊が肉や魚を食べるわけにもいきません。育てている作物もまだまだ収穫には程遠いです。ならば海産物……海藻ならばイケるのではと思いついてしまった私の次の目的地は海となりました。
パリパリの海苔の表面を炙って食べることを目指す所存です。
そんなわけで雨の影響で水嵩がまして流れも速くなっている川を下って海まで行ってみようと考え、以前にも訪れた河川へと。
東の河川は前に目にした時よりも水量が増して流れも速くなっていましたが、荒れているからこそという理由もありました。
これだけ荒れていれば水面の波紋を察知して襲い掛かってくるような敵に見つかりづらいだろうというのと、流れが早いぶん所要時間が短縮できそうだというのが理由ですね。
そんなわけで荒ぶる河川に丸太を組んで作った簡易的な筏を浮かべてのラフティングとなりました。
筏は丸太を鉱物造形の魔法を駆使して連結固定したうえで硬化の魔法もかけたものとなっていて、耐久性は普通の筏よりも高くなっているはずです。
前世ではラフティングの経験などありませんでした。いえ、やろうとしたことがなかったわけではなかったのですが最寄りのラフティングツアーの身長制限に引っかかったので当時は断念したのです。流石に死んでしまった頃にはその身長制限もクリア出来る背になっていましたがその頃には学業優先でしたから……。
そんなわけで初ラフティングは異世界で羊! というスリリングなものとなりました。
分枝の魔法で羊の身体から伸ばした根を命綱代わりに巻きつけての激流川下り。
探索組の活動距離としては過去最長となる探索のゴール、海を目指して川を下っていきました。