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生まれ変わったら種でした 〜バロメッツで送るスローライフ〜  作者: K-ma


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蟷螂





 四号の目の前に現れた一匹の異形の虫。人間大というその大きさは紬が知る普通のものよりも遥かに大きな体格であったが、その姿はカマキリのものだった。ただその身体には紬が知るカマキリよりもトゲトゲとした突起がいくつも張り出しているし、なによりもカマキリ最大の特徴とも言える鎌が普通ではなかった。


 カマキリの鎌は形こそ鎌に似ているが決して刃物のように物を斬れるようにはなっていない。だがこのカマキリの異形の鎌は違った。まるで金属の鎌のように鋭い切れ味を持つ。四号が躱したその場所に容易く深く突き立つその様を見ればそれは確実であった。


 もしもその初撃を躱すことができていなければその鎌で四号の身体を引き裂かれ、血の池に沈むこととなっていただろう。


 単独で現場に赴いた四号はカマキリの異形からの鋭い攻撃を食らわないようにしながら一号たち他の羊たちの合流を待つ必要がある。樹海の中で目立ち難い若草色の四号のみが現場に近付き、目立つであろう白色の一号や他の羊たちとの距離をとっていたことが裏目に出る結果となってしまった。


 ただ本来であればここまで接近されることなどなかった筈だった。俯瞰の魔法で周囲の光景を上から見下ろすように視界に収めていたので、このような異形の存在が近付いてくれば気が付かないはずが無かった。


 しかし実際には至近距離までの接近を許し攻撃をされるまでその存在に気付くことができなかった。


 その原因はすぐに判明することとなる。


 鎌を振り上げながら翅を拡げ、攻撃を躱した四号に向かい威嚇のポーズを取っていたカマキリがバチバチと火花を散らす。するとカマキリの姿が四号の視界から背景に溶けるように消えていき視認することが出来なくなってしまったのだ。


 光学迷彩。


 その言葉が紬の脳裏に浮かぶ。


 この魔法の効果によってカマキリの異形は四号の視界に映ることなく近付いてきたのであろう。


 殺傷力の高い攻撃手段を持ち姿を消せる敵。その対処に紬は頭を悩ませることとなるのだった……。

 

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