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岩巨人





 紬はこの場から撤退することを即決した。


 というよりも他に選択肢などなかったのである。ただでさえまともにダメージを与えられるか怪しかったというのに、岩巨人が近づいてくるとまともに魔法が使えなくなってしまったのだ。


 岩猿を拘束していた特製ボーラも岩巨人が近づいてくると光となって消えてしまった。硬化の魔法を掛けていたので鉱物生成の魔法のみの場合よりもはるかに継続時間が伸びていたはずなのに、である。


 これは紬が蜘蛛の異形と戦った時により多くその場の魔素の制御を得られた現象が極端になったものだと思われる。


 特製ボーラに利用していた魔素の制御権を横から掻っ攫われてしまったために魔法を維持できなくなってしまったようだった。


 つまり今この場に存在する魔素の殆どが岩巨人に優先度がある状態であると見てまず間違いない。


 カルデラ湖周辺が紬のテリトリーなら、この岩場はあの岩巨人のテリトリーということだろう。


 完全アウェーの地では魔法の発動すらままならないようになるらしい。


 そのため、今現在紬は周りの環境魔素を利用する魔法が使えなくなってしまっていた。


 脚力強化のような自身の内に持つ魔素を利用した魔法しか使えない状況で岩巨人に立ち向かおうなどと思える筈もない。


 ボーラによる拘束がなくなったことで岩猿は群れの生き残りなど目もくれず一目散に逃走していた。


 種のようなものを回収したいところであったが、環境魔素を利用できない現状ではまともな遠距離攻撃はないので紬は岩猿が逃げ出すのを見送るしかなかった。


 脚力強化の魔法を使って追いかけることも考えたが、岩猿の行動を思い出すと使っていると思われる魔法は腕力強化の魔法と硬化の魔法ぐらいで、わざわざ追いかける必要はないかと思い直し見逃すことにした紬。


 今はとりあえず岩猿を見習ってこの場から離れることを優先するべきだろう。

 

 羊たちはこの場から速やかに離れた。岩巨人を刺激しないようになるべく目立たないようにして……。




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