表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
14/194

誤算



 誤算だった。吾妻紬は見誤ってしまったのだ。


 その僅かな変化にもっと早くに気が付いていればと紬は後悔した。

 どこからか流れ出ていたのだろう。湖の水位が下がり続けていたのだ。湖の反対側が川にでもつながっているのかもしれない。

 水位が下がれば水辺もその分引いていく。つまり水辺までの距離は徐々に開いていっていたわけだ。


 根を湖へ伸ばすと決める時、根の成長効率を検証してこれならば湖まで届くだろうと判断した。

 そう判断したのは雨が降って間もない時。つまり最も湖の貯水量が多い時だったわけだ。

 紬が視界を得たのもその直前のため、湖の水位が高い時しか知らなかったことも今回の誤算に繋がった要因の一つだろう。

 ともかく水が引いて距離が離れていくことに気がついたが紬にできることは根を伸ばし続けることだけである。 


 当初目標にしていた距離まではすでに根は届いてる。湖までの距離は残り僅かだ。


 しかしその僅かが遠い。周りに草は残ってない。雨も降らず水分が足りてない。このままでは届かない……。


 特に足りてないのは水分だ。こればかりは自身を食べることで補うことはできない。

 もう雨を待つしかないのかもしれないと紬が考えているとき、羊の鋭い聴覚がその音を捉えた。


 大地をける蹄の音。それは足音だ。湖の向こう側から近づいてきている。


 そして紬の視界に入ったのは一匹の草食動物。


 吾妻紬は異世界で鹿と遭遇したのだった……。


 



 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ