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獬豸ーカイチー





 瑞獣(ずいじゅう)、カイチ。


 中国の伝説に登場する一角獣である。


 瑞獣とは古代中国において瑞兆――良いことが起こる前兆――の際に姿を現すという何らかの特殊な能力を持つ動物のことをいう。


 瑞獣と聞いてもあまり馴染みがないかもしれないが、鳳凰や麒麟、竜や霊亀などが瑞獣にカテゴライズされると言われればそこと同列なのかと理解できるのではないだろうか?


 一角獣のカイチも瑞獣に数えられ、その姿は羊や牛に似ているという。頭には一本の角が生え、この角を折った者は死んでしまうとも言われる。


 水辺に住むのを好み、真贋を見極め、虚偽を見破る力を持ち、人の紛争が起きると角を使って理が通っていない一方を突き倒すといわれる。次第にカイチはより正義感のある性格付けがなされてゆき、正義や公正を象徴するようになった。


 今回の新しい羊の姿は、そんな伝説上の生き物カイチに似ていると紬は思った。


 察知の魔法が変化した固有能力も真贋が判断できるようになったりと、能力面でも似通っていると言えるだろう。


 とは言ってもたまたま類似点が多くなっただけで、本質的に同一というわけではないだろうとも思う紬。


 毛色の選択や翼を持つ黄金の羊の件も考えれば、紬の無意識的な思考や記憶が何らかの影響を及ぼしているという可能性も否定できない。


 とりあえず新しく群れに加わった羊の呼称はカイチと呼ぶことにした紬。通し番号で言うと十号となるのだが、一から九までのナンバーズとはわけておこうと思ったためだ。


 ともかく今はバロメッツに成る羊の容姿や能力に新たな可能性が出てきたことが重要な点である。


 事前に能力を割り振った能力が変化して割り振ることができなくなると考えると無闇に一つしか所持していない能力を実験に使うことはできない。


 察知の魔法の能力が余っていたから蕾に事前に割り振っていたわけであるが、今のところ察知の魔法以外に余っている能力というと腕力強化の魔法くらいだろうか? 余っているというよりも使い道がないだけであるのだが……。


 今のところの有力候補として腕力強化の魔法を考えておくことにした紬。


 島の北側の探索の結果次第で検証に使う能力は変わるかもしれない。


 可能であるならば使えるかわからない能力よりも、有力な能力が強力になる可能性を取りたいところである。

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