紬さんの生存日記17
百八日目
今日は山の麓の拠点の方を整備しなおしていました。
例えば溜池は水が染みないように樹液でコーティングしていたわけですが、そこに鉱物造形の魔法で薄く伸ばした岩を貼り付けて確実性を増すことにしたのです。ついでに排水路のほうも同じように処理をしておきました。
ちなみに魔法を使っているのは分枝の魔法でコピーした私が所持している能力全てを備えた分枝の羊たちです。
正確にはナンバーズたちが分枝の羊たちを介して魔法を使っているというのが正しい表現かもしれません。
分枝の羊たちがいつの間にか便利な魔法の道具扱いなのは気のせいではないと思います。
魔法の道具というと私は前世で子供の頃やったゲームの全然使わなかったアイテムを思い出しました。そのゲームはターン制のゲームで、たたかう、まほう、どうぐ、にげる……といった感じの選択肢からコマンドを選んで戦闘するようなものだったのですが、そのゲームに存在していた火炎の巻物だとか吹雪の巻物なんていう使うと魔法攻撃が出るアイテムたち。正直なところ、パーティーメンバーが覚えている魔法を使ったほうが強かったので、そのゲームでその魔法の道具って使った覚えがまったくないんですよね……。
閑話休題。ともかく使うと劣化した魔法が扱えるという点で、ちょっと似ているなと思い出したわけですね。
もちろんコピーした分枝の羊たちの魔法よりもオリジナルの能力のほうが使いやすかったり性能は高いのですが、劣化した能力でも十分な場面なんかではお手軽に、そして頭数を揃えられる分枝の羊たちが活躍できる場面はかなり多いです。
蜘蛛の異形が居なくなったからなのか、見かけなくなっていた小動物なんかも再び見かけることが増えてきたので、農場が荒らされたりしないように柵を作ることにしたのです。
分枝の羊たちの使った鉱物造形の魔法のおかげで柵を張り巡らすことも簡単でした。
鉄はまだ確保していないので有刺鉄線みたいなものはありませんが、代わりに石を造形の魔法で変形させて、似たようなトゲを柵につけているのでそこそこ効果があるんじゃないかと思っています。
柵を作ることで逆に目立って狙われる可能性もあるかもしれませんが、現在所持している能力があれば防衛は問題無いと思いたいところです。