紬さんの生存日記16
百七日目
鉱物造形の魔法で岩の形を整えていけばあっという間に……というのは言いすぎですが、普通に人力でやるのに比べれば遥かに簡単に石造りの建造物が出来上がりました。
とは言え四角いプレハブ小屋みたいな形の簡単なものでしかありません。
最初もう少しこだわってみようとしてみたのですが、結構難しかったのですよこれがまた……。
何も深く考えずにテキトーに魔法で形を変えただけの石造りの建物だと自重で倒壊しちゃうんですよね……。
重さとかいろいろとバランスを考えながら建てなければ倒壊してしまうので大変でした。
中世の石造りの建物……特にお城なんて巨大建造物を作った人たちは凄いと思いました。
確かアーチ構造が肝なのだとか聞いたことがあるような覚えがあったので試してみようと思ったのですが、なかなか上手く行きません。
なのでとりあえずは屋根部分をものすごく薄い物にして軽量化をはかりました。アーチ構造の方は今後少しずつ経験を積んでいけば出来るようになるかもしれません。
鉱物造形の魔法の練習に良さそうなので練習メニューに追加することに決定しました。
とりあえず壁と屋根は暫定で完成ということで、あとは扉についてです。
マイホームといいつつも、実際に利用するのは羊たちです。
その点を考えれば扉もドアノブがついたような扉なんてものは羊たちに開けられないので当然却下です。
なのでこの家につける扉は押すだけで開くようなものをとり付けたいと考えています。
イメージはあれです。西部劇とかで見るような扉です。押して入って扉は勝手に元に戻るあの扉です。
ウェスタンドアだとかスイングドアなんて呼ぶのでしたっけ?
羊たちが利用するのにはあんな感じの扉なら使い易いと思うのです。
あの扉の動きを再現するにはバネかなにかが必要な気がします。そうなると鉄を鉱物造形の魔法で巻いていけば良さそうだと思うのですが、肝心の鉄が手元にありません。
どこかに鉄を探しに行く必要が出てきました。
一応目星としては島の北側の岩場のあたりにならあるんじゃないかと考えているところです。
とりあえずしばらくは鉱物生成の魔法で出した鉄を使っていろいろと試作してみて、ある程度の目処が付けば実物の鉄を探しに行く事しようと思います。