蜘蛛の異形の魔法
蜘蛛の異形から得た種のようなものを取り込んだことで、新たに得た能力を紬は確認する。
今回の種のようなものから得られた魔法の種類は多い。初めて得る能力とすでに所持している能力の合計数は、両手の指の数……前世の両手の指の数では足りないほどだ。
種類だけでそんな感じなのだ。重複も含めれば蜘蛛の異形の種のようなものから得られた能力の数はもっと多くなる。
察知の魔法だけで種のようなもの十個分はある。察知の魔法を持っているのは角兎だが、そんなに沢山どこに居たのだろうと思わなくもない。植物本体とナンバーズにそれぞれひとつずつ配分しても余ってしまう数である。
まあ、余るといってもすでに新しい蕾が成っているのでそのうち新しい羊が増員されることになるだろう。とりあえず余った察知の魔法はその新しい蕾の方にも羊が成る前から分配しておくことにした紬であった。
これだけの数があるということは紬が以前に少しばかり考えたように、角兎の子供もまた角兎という説があたっていたりするのだろうか?
それとも角兎以外にも察知の魔法を持っている異形の存在がいるという可能性も無くは無いなと思う紬だった。
そんなわけですでに紬が所持していた能力は、察知の魔法が追加で十、腕力強化の魔法が追加で三、浮遊の魔法が追加で一、熱を見る魔法も追加で一、というような感じであった。
また腕力強化の魔法を手に入れたが腕を持たない今の紬にはやはり使えない。というよりも蜘蛛の異形も使えなかったのではないだろうか? どのような異形が持っていたのかは知らないが三度も狩り取る必要が蜘蛛の異形にあったのかは疑問である。
いや、他の異形が腕力強化の魔法を持つ異形から奪ったものを蜘蛛の異形が取り込んだ可能性もあるのだと気付いた紬は、能力の来歴についてはあまり深く考えても仕方がないなと思考を切った。
すでに所持していた能力だけでもこれだけの数である。そこに紬が所持していなかった能力がさらに九種類もあるのだ。
数だけで見ればすでに紬が所持していた能力の数を超えている。それだけで多くの異形を狩り取って来た蜘蛛の異形の危険度が窺えるというものだろう。