表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
116/194

蜘蛛との攻防




 蜘蛛の異形と対峙するのは白色の一号と黒色の三号に若草色の四号といういつもの探索チームだ。


 三体の羊たちの今回の能力の割り振りは、一号が眠りを誘う煙の魔法と水を生成する魔法に状態異常に対する耐性を得る魔法。三号が毒性付与の魔法と分枝の魔法と脚力強化の魔法。四号が熱を見る魔法と浮遊の魔法と察知の魔法に嗅覚強化の魔法となっている。


 どうにかして蜘蛛の異形の隙を突きたいところであるが、以前行ったような倒木による牽制をする手は倒すことの可能な木が生えていない開けた場所なので使えない。


 逆に言えば樹上からの奇襲が来ないというメリットもあるとボジティブに考える紬。


 羊たちは視界が共有できるために死角は少ない。それでも木の上にまで行かれてしまうと目で追うのが難しいことには変わりないのである。


 木々の間を蜘蛛糸を使って立体的に動かれると厳しそうだったので、その点を心配しなくて良いと考えれば妨害や遮蔽物に使えるものがないくらいは大きな問題ではない。


 とりあえずは一箇所にまとまって居ると投網で一網打尽なんてことになりかねないので三体の羊たちはバラバラに散開した。


 そして一号は周囲に眠りを誘う煙の魔法を水を生成する魔法も使って霧状にして散布していく。


 分枝の羊が使った時でも一瞬ふらつかせることができたので、触れさせることができさえすれば隙を生じさせることは可能だろうからだ。


 三号は脚力強化の魔法を使い素早い動きで翻弄して相手を撹乱する。隙あらば毒を仕込むために接近することも視野に入れている。


 四号は蜘蛛の異形の攻撃が届くか届かないかの距離を保ちながら察知の魔法で相手の攻撃を察知して躱し続ける引きつけ役だ。


 蜘蛛の異形は蜘蛛糸の網を飛ばしたり前脚で引っ掻いたりしてくるが、その攻撃が羊たちを捉えることはなかった。


 魔法で創りだした鉄の槍もただ降ってくるだけなので足を止めなければ躱すことも容易であった。


 そもそも鉄の槍の数が以前よりもだいぶ少ないというのも簡単に躱せる理由の一つだ。


 最近になってわかってきたのだが魔法は使う場所によってその効率が変わることがある。紬は周囲の環境などが関わっているのだろうと予測している。水気が多いところのほうが水を生成する魔法の効率が良くなったりという感じだ。


 更に周囲の環境以外の要因として、周囲の魔素が深く関わっているようだ。


 魔素は魔法の使用で消費されているわけではない。しばらく魔法に利用できなくなるだけで、時間が経てば再び利用することができる。


 その魔法の色に染まるとでも言えばいいのか、魔法を使うことで関わった魔素は同じ魔法を使うときにより効率がよくなるという性質があるらしい。そのためカルデラ湖周辺の環境魔素は紬が魔法を使う場合かなり効率よく発動するようになっている。


 そしてこの場所は人面樹との戦闘で散々水を生成する魔法を使った場所である。


 この場所の環境魔素はかなりの割合で紬の水を生成する魔法の色に染まっているのだ。


 この場所の魔素は蜘蛛の異形の魔法に使われるよりも、一号が使う水を生成する魔法の方に優先されて利用されているというのが現状なのだった。





評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ