東の湖の探索
紬は眠りを誘う煙に触れて倒れた小型肉食恐竜たちにとどめを刺す。眠りを誘う煙の魔法は即効性は非常に高いが効果時間もすぐに切れてしまうのでもたもたしているとすぐに起きてしまうのだ。
水を生成する魔法で作った水を肺に送り込み溺死させたあと、熱を見る魔法によって種のようなものがないかどうか念の為に確認しておく。
確認も終わり、これといって視界に反応がないのでこれらの死体は放置しておくことにする。
まわりにいる他の肉食動物たちは先ほどのやり取りを見て何が起こったのか正確に判断することは無理でも、この羊たちに近寄ると危険だということだけは理解しているようである。ならばこの新鮮な死体があればそちらに注意が行くことだろう。
魔法で対処するのは簡単ではあるが、魔法を使えばそれだけ消耗するのでできることならなるべく関わりたくないというのが紬の考えだ。
その場を紬が離れると狙い通りに小型肉食恐竜たちの死体の奪い合いが始まった。
今のうちにこの湖周辺を探索して何か役立つものなどないかと調査を始める紬。
しばらくあたりを調査した紬であったが、成果と呼べるものは多くはなかった。
まずわかったこととして、この湖の水にはカルデラ湖ほどの魔素を含んでいないということ。なのでここの水を飲んでも魔素の補給には向いていないようだ。
次に見つけた役に立ちそうなものは、紬が知っていたとある植物だ。
紬が小学生の頃に、小学校の中庭の片隅で育てていたこともあるケナフという植物だ。
うろ覚えだが総合学習か何かの授業の一環として育てたケナフを使って紙をすき、名刺やはがきを作った覚えがある。
つまりこの植物を使えば紙を作ることもできそうだということだ。
なので拠点の方で栽培できるようにケナフの種を回収しておく。
今回の探索では異形のような目立つ相手も居らず、東の湖付近の目ぼしい物はこれくらいだった。
あまり進展がなかったのと、まだまだ行けると考えた紬はこのまま東へ向かい、湖から流れる河に沿って進んでいくことにしたのだった……。