紬さんの生存日記14
九十九日目
今日はここ数日で調べた、人面樹から得た能力について検証した結果をまとめておこうと思います。
分枝の魔法については少しだけ進展がありました。魔素を貯めこむことができるので外付けバッテリーのような扱いができることがわかったのです。
ここ最近、魔素のやり取りを繰り返していたので以前よりも魔素について感じ取りやすくなったのでわかったことなのですが、魔素の最大保有量には限界があってそれ以上は取り込めない状態というのが存在します。
植物本体はかなりのキャパシティがありますが、羊たちは植物本体と比べるとはるかに許容量は少ないです。
そこで分枝の魔法で生やした分枝の羊の出番です。
分枝の魔法を使うときにある程度は使ってしまうものの、キャパシティ自体は分枝の羊の分だけ増えていることに気が付きました。減った分はまた溜め込めばいいということで分枝の魔法を使って最大値を増やしてからカルデラ湖から魔素を吸収するという手順によって魔素の保有量を増やしていくことが可能となりました。
保有量が増えればそれだけ魔法を使った時の負担が軽くなります。
消費が同じなら全体の量が多いほど割合としては小さくなるので力が抜けるような感覚も和らぐようです。まあ、献血みたいな感じですね。
とまあ、そんなわけで現在植物本体には鈴なりに小指の先ほどの羊がいっぱい成っているという状態だったりします。遠目に見れば白い小さな花が咲き乱れているように見えるかもしれません。
近くで見るとかなり不気味ですが……。
とりあえず分枝の魔法については現状そんな感じです。
次に人面樹から得た残りの魔法についてです。
強化の魔法三種についてですが、脚力強化と嗅覚強化の魔法についてはその効果を確認することができました。それぞれしっかりと強化されていたので今後もお世話になりそうです。
腕力強化は効果が出なかっために検証はお預けとなりました。今後使う機会が来るかは不明です。
最後に毒性付与の魔法。
これの効果範囲はバロメッツの動かす魔法と同じということで、私が影響を与えた魔素を含むものならばその魔素に毒性を付与することができました。
ただ付与できる毒の種類は自前のものか自分が受けたことがあるものしか無理なようなので現状だと使い道が限られます。
分枝の魔法で葉っぱをコピーしてそこに毒性付与で眠りを誘う煙の効果を付けられることができたので全くの役立たずとはなりませんでした。
今後は毒性付与の魔法で扱える毒の種類を増やすために毒をわざと食らうことも検討しないといけないかもしれません。