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遊び人は復讐の道を行く  作者: 魔女の弟子
第1章 召喚と絶望と虚無感と
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始まってなんていなかった

召喚されてから一週間が経ち判明したこの世界での大方の魔法やステータス等の説明をしようか。


まずステータスは、まぁ想像どうりのものだ。

項目は『体力』『魔力』『筋力』『防御力』『敏捷性』『正確性』の6つ。

体力はゲームではHPと称されるものと思ってもらえればいい。

高ければ死ににくい、低ければ簡単に死ぬ。

『戦士』とかが高いらしい。

魔力もそのままの意味で『魔法使い』が高い数値を持っている。

筋力は力の強さだ。

女子が高い数値を持っていると細身の女の子がどでかいハンマーを振り回すなんていうシュールな光景が生まれる。

防御力は守る力だ。

高いと肌が硬くなり剣も通さなくなるらしい。

それってよくよく考えたらだいぶ気持ち悪いなと思わなくもなかったけどそれが当たり前っぽい。

敏捷性は平たく言えば素早さで『盗賊』は高い数値を持っている。

高いやつになると影分身とかできるようになるらしい。

正確性は上手くものを扱えるかどうかということだ。

ただ剣を上手く使えるとかだけじゃなくて罠や武器の製作とかもこれが高くなければならない。

青い板(ステータスボードというらしい)にはこれが六角形のグラフで表示される。


「れーん、なーにしてるの?」

「うわっ、びっくりした。なんだ、緋色か」

「何それ、日記?」

「わかってんなら見ないでよ」

「いいよ、後で見るから」

「......鍵付きの引き出しにしまっとく」

「それ私のと鍵穴同じだよ」

「えっ、というか試したの!」

「ま、ご想像にお任せしまーす」

「その言い方絶対やってるな......」


それとは別に『才能』というのがある。

『剣』『槍』『斧』『鈍器』『盾』『攻撃魔法』『治癒魔法』などの項目がありこれが高いとそれをうまく使える。

HからSSSまである。

Hならまともに持つことすらできない。

Dならギリ当てれる。

Aあれば天才レベル。

S以上はかなりの化け物。


レベルや経験値の概念もある。

ステータスの六角形の下にゲージがありこれが満タンになるとレベルが上がる。

経験値は『自分の経験になること』をすると上がるらしい。

でも一番手っ取り早いのは魔物を倒すことだ。

そう、魔物がいるんだ!この世界には!

小鬼種とかと何が違うのかはまだわからないけど。


「まだ起きてるの?ろうそく消すよ?」

「いや、ちょっと待って!」

「嫌だ、この匂い嫌いだもん」

「確かに臭いけど待って!」


そのほかにも技能成長樹スキルツリーやら収納庫アイテムボックスやら色々あるがそれはまた今度話したいと思う。

あと事後報告だけど言語変更欄を発見して日本語に変更したから自分でも読めるようになった。

もちろん他の奴にはやり方を教えていない。

それぐらいのことは許されるよね!多分!

ばれたら日高どもに殺されそうだけど!


次は魔法。

当たり前だけど、魔法は魔力を消費して使う。

魔力は睡眠や食事である程度回復する。

ここで重要になるのは『ある程度』ということだ。

そう、完全には回復しないのである。

そのためこの世界の人間は10年ほど魔法使いをすると引退するらしい。

まぁ魔法使いになれるのは才能のある一部の天才だけらしいけど。

けれども僕たち異世界人は無尽蔵に魔力を使えるらしい。

だから異世界人はすごい戦力になるんだとか。




魔法を使うにはやはり詠唱が必要らしい。

その内容は神がどうとか精霊がどうとかみたいに厨二要素がかなり入っている代物だ。

魔法使い系の職業に選ばれたやつらは顔を赤くしながら詠唱の練習をしていた。

......まぁ、確かに恥ずかしいよな、あれは。

『大地に宿りし精霊よ!今ここにその力を顕現せよ!』だもんなぁ。

僕的には異世界っぽくてちょっといいけど一般人の人たちには恥ずかしいだろうな。


ばさっ

「痛い!何これ、カード?」

「金属製タロット。さっさとして」

「あ、あと10分くら......」

さっ

「5分で終わらせます!」


実は僕たちクラスメイトは5つの班に分けられている。

『勇者班』

これは日高とその取り巻きの数人で構成されている。騎士団とか正規軍のお偉いさんとかが手取り足取り色々教えてるらしい。

馬場や相澤もここにいる。


『戦闘班』

こいつらは『戦士』だとか『騎兵』だとか魔法を使わない戦闘職に選ばれている。

こいつらも日高どもまでではないにしてもそこそこな訓練を受けているらしい。


『魔法班』

こいつらはそのまんまだな。

『魔法使い』とか『僧侶』みたいに魔法を使う奴らで、「国立大図書館」でとこに行って練習するらしい。


『生産班』

これは『鍛冶屋』や『魔法彫刻家』などの(日高どもにとって)必要で便利な物を作る奴らだ。

個人用の工房を与えられていて、日夜製作と研究に励んでいるとか。


『役立たず班』

何の役にも立たないクズのよせ集め。

『とりあえず魔物倒してこい!』としか言われていない。

要はいらない子である。


まぁ、ここまで言えば僕がどこにいるのかわかるだろう。

もちろん『役立たず班』である。

ここには僕以外にも、『怪盗』の御手洗みたらいとか『踊り子』の遠藤とかが一緒だ。

役立たず班にいる人の才能は大概GでたまにEがある程度。

『遊び人』の場合は魔法系統は全てHで近距離武器はG、遠距離武器はF。

『勇者』の場合は全てS以上らしい。








わかってはいたんだ。

僕程度がチートをもらえるわけがないって。

これはアニメや漫画じゃないんだから。

強い奴は優遇され、雑魚は放置。

それが現実で。

それ以上でもそれ以下でもなくて。

主人公になんてなれなくて。

僕の物語なんて始まらなくて。

どこまでいっても僕は日高の物語のモブキャラなんだって。

それを思い知らされた。

それだけの一週間だった。

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