ありふれた始まり
初投稿です。
至らぬ点もあると思いますがよろしくお願いします。
きっと、どんなに心踊る最高の物語だって始まりは無難でありふれたどこにでもあるものだろう。
だから僕の物語も、始まりはありふれたものにしておく。
無難で、ありふれた、どこにでもある、
世界でたった一つ、
僕だけの物語。
自己紹介から始めたいと思う。
僕の名前は『萩月 蓮』
今は高校二年生。
よく男か女かわからないと言われるほど背が低くて線が細い。
顔は......ブスではないと思う。
もちろん帰宅部。
特技と言えるようなことは特にない。強いて言うのなら、中学からずっとオール3を取り続けているのはちょっとした自慢になっている。
いわゆるオタクというやつでアニメ、ゲーム、ラノベにマンガ、ボカロまで二次元ならなんでもござれな人間だ。
今中2の妹がいるんだけど、成績優秀、容姿端麗、運動神経も良くておまけに生徒会長までやっている。
親の意識は完全にあっちへ行ってしまっていて僕なんて道の端の石ころのように扱う。
それで妹もいい気になって俺をからかう。
悔しくて、惨めで、情けなくて。
学校でも友達もいない、先生からも何も言われない、おまけに『上位』って呼ばれてる奴らにパシリにされて......
死にたいって思ってた。
生きている理由なんてないって。
もうどうでもいいやって。
そんな時だった。
「どこだよ......ここ......」
眼が覚めるとそこは玉座、王の間等々といった言葉が似合いそうなかなり広い場所だった。
確か今まで眠くなる授業ナンバーワンの佐藤先生の授業を受けていたはず......。
そう思いながら周りを見渡すとクラスの連中が目を覚ましたところだった。
意識がはっきりとしてきて、僕はある一つの結論にたどり着いた、というかこれしかないでしょ。このお約束展開は!
「異世界召喚!」
やったぜ!これで僕もチートハーレムウッハウハだ!
他の奴の中にもそれに気づいた奴が数人いるらしい。明らかにそわそわしている。
そりゃそうだよな!異世界召喚だもんな!勝ち組ルートだもんな!
「お気づきになられましたか?皆さん」
ここでこういうことを言うということは!
声の主を見てみると恰幅のいい体にデカイ王冠、派手なマント!
「我はこの大ニンゲン帝国、アリファンの王!バイツ=ヴァン=ピエルノ4世である!」
やっぱり!
ヤバイ!テンション上がってきた!
ラノベの王道展開!
いやいや流石に俺主人公とか言わないよ?
言わないけどねぇ。
「皆様を呼び出したのには訳がある!」
当たり前だろう。
ないのに呼び出してたのなら、(たぶん)チート性能になった腕力で殴り飛ばしてやる。
「実はこの世界では、人間は他の種族と戦争状態なのじゃ」
ん?お約束からは少し離れたかな?魔王倒す系ではないのね。
「竜人種は空からの爆撃、小鬼族は罠で姑息に我々を嬲り、巨人族はその巨体で我らが兵士たちをいともたやすく殺していく。しかし、我々とてやられっぱなしになるわけにはいかん。他力本願なのは情けないと思うが、このとうりだ!力を貸してくれ!異世界の若者たちよ!」
「まぁ、困ってるっていうんなら助けないわけにもいかないな」
そういったのは日高 真一という男である。
『上位』の中のトップにいる奴でイケメンで優しくてなんでもできると言うキャラを演じている。
その本性は自分が一番じゃないと気が済まない超絶ナルシストである。
1年の時から僕をパシリに使い続けている。
パシリで終わればよかったのに、いじめにまで発展してきている 。
......このクソ!
と思っても何もできない。
人望も信用もカリスマ性もない俺がなにを言ったって逆効果なんだよ、ちくしょう!
でも!でもこれからは違う!
ここでチート性能になって!
見返してやる!




