脳嚢
「あ」
ブチン、ドサッ…
教室騒然
そっこー卒倒、そっと卒倒
先生は 授業をやめて 側に寄る
先生は 保健係に 指示を出す
保健の先生 早く呼んで、と
すぐに救急車が呼ばれた。
倒れたあの子はグッタリと、手も足も動かない。
そして、あの子は救急士に搬ばれた。
授業はいったん中断するも、下校までとは行かなかった。
内心、生徒は期待してたが、それが分かるとがっかりした。
次の日、急にホームルームが開かれた。
あの子の意識が戻らない、応援のメッセージを送ろうと。
みんなは色紙に書いた。
「がんばって」、「がんばれ」、「がんばって退院して」、「がんばって、良くなって」
みんなメッセージが一辺倒。先生はそんなものを感じた。でも、先生もその一員だった。
「がんばれ、みんな学校で待っているぞ」
がんばれ、ってなんだ? がんばる、ってなんだ?
これはまずいと思ったか、先生提案一つ出す。
もっといろんなことを書こう、もっとたくさんのことを書こう。
みんなはいろいろ考えた。
そのときだった。どこぞの先生すっ飛んできて、あの子が死んだと伝えに来た。
一同騒然、顔面蒼白
死因はストレスによる脳嚢の破裂
一同黙った、押し黙った。
応援が 死別の言葉に なるなんて
誰が知れたか 蓮の花びら
死因を聞いて、先生疑心暗鬼になりました。
「い」と「じ」と「め」の文字が脳裏に浮かぶ。
先生みんなに聞きました、あの子はどんな子だったか、と。
みんなは、言った。
あの子はいつも真ん中で、笑っているような子だった。
ニコニコ、ゲラゲラ、ワッハッハ
「のうのう」とした子だった。誰かが言うとみんなうなづいた。
「のうのう」とした子の脳嚢破裂? No,no. そんなのありえない。
「悩々」としてた子の脳嚢破裂? ノー、ノー。あの子は笑顔だった。
あの子が笑っていたのは何のため? あの子がこんなにも皆に知られていないのは何のため?
No,no. いまさら気付くだなんて。 No,no. 遅いじゃ済まされない。
あの子は仲間になりたかったんだ。入りたくても入れない。
だからクラスの真ん中でアピールするので手一杯。僕らはあたかも真ん中に彼がいると思っていたんだ。
今では彼らはもうわからない。脳嚢の破裂音が先だったか、あの子の最後の声が先だったか。
ちょっと、人の内面に踏み込んだ感じのものをつくってみました。
お読み頂ければ幸いです。