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Master Code  作者: 覇牙 暁
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第五十五話

第五十五話「父親として」




 ラクシュミと和幸との戦いが終わった、丁度その頃。


 発電所の駐車場から更に西。

 人工的に作り出された浜辺の砂地。


 石狩湾が照り返す月明りだけを頼りに、コッペリアは激闘を繰り広げていた。



 「あーもうっ! 足場が悪過ぎでやがりますわっ!」



 ライフルを構えようにも、射撃体勢を維持するのに手間取る。


 砂浜に足を取られ、バランスの調整が難しいのだ。


 対して、相手の筋肉ダルマは。



 「……シッ!」



 砂地を物ともせず、恐るべき瞬発力で距離を取ろうとするコッペリアへと肉薄し、その剛腕を振るう。



 「チッ、しつっこいッ!」



 辛うじて交わす事こそ出来たものの、その拳打は砂地に叩き付けられると同時、まるで爆発するように飛散し。



 「―――痛っ!?」



 砂塵に襲われたコッペリアの頬に鋭い傷が走る。


 砂に紛れてガラスや貝殻の破片が吹き荒れているのだ。


 これでは、全身に紙鑢を掛けられているような物。


 咄嗟に身を屈め、両腕で頭を庇い、伏せる事でダメージを最小限に抑えようとした。


 が、それは失策。



 「しまっ―――」



 未だ吹き荒れる砂塵を物ともせず、その男―――ガネーシャは、ただただ見上げるだけのコッペリアへ向け、拳を振り下ろす。



 (―――やられるッ!?)



 眼前に迫る迫撃砲のような拳。


 が、しかし、それは鼻先数センチという場所でピタリと止まっていた。



 「え……」



 何時まで経っても襲って来る事の無い衝撃に、恐る恐る目を空けたコッペリアは、間近に迫った象の仮面と目が合った。



 「―――問う」


 「え、あ、はい……?」


 「お前は……人間か? それとも、アバターラか?」



 それが、初めて聞いたその男の声だった。


 この不意の出来事に、思わずコッペリアはそのままの体勢で。



 「わ、わかりません、でやがります」


 「判らない……だと?」



 嘘を吐いている訳ではなく、それは事実。


 コッペリアは、自分自身が何者であるのか、それをハッキリと認識出来ていなかった。


 人間の肉体を持ちながら、アバターラと同様の技術を扱う事ができる別種の存在。


 故に、ガネーシャの目にも彼女のステータスは表示されない。


 この言葉をどう受け取ったのか、ガネーシャは。



 「なら、質問を変える。お前は、死ぬのか?」


 「え、っと……どうで、やがりましょう……?」



 判らない。死んだ事が無いからだ。


 アバターラであれば死んでも生き返る事が出来るが、果たして自分は同じように生き返る事が出来るのか否か。


 答えは、やはり“判らない”。


 これに、ガネーシャは拳を引き。



 「―――抵抗をするな。死んでしまうかも知れない者を、オレは殺したくない」


 「…………」



 殺したくない。と、そう言うガネーシャの表情は、やはり象の仮面に隠され、窺い知る事が出来ない。


 だが、しかし。


 それでも、コッペリアには気配で感じ取れていた。


 殺したくはない。が、抵抗をするなら止むを得ず殺す事になるかも知れない、と言っているのだと。



 「情けをかける、と……?」


 「無為に血を流す必要は無いと言っている。オレに与えられた任務は、お前達精霊連合側の戦力を捕縛する事。それが叶わぬ場合には、殺害も許可されている」


 「なるほど……、そういう事でやがりますか……」



 無駄な戦いは避けるべき。そう言っているのだと解り、しかしコッペリアが取った行動は、ガネーシャの予測を裏切った。



 「ナメてんじゃねぇーでやがりますわッ!!」


 「―――ッ!?」



 何が起こったのか。ガネーシャは意表を突かれ、鋭い何かでその象の仮面を真っ二つに割られてしまっていた。



 「お前……」


 「勘違いしないで下さいやがりまし。今のは、わざと外したんでやがりますわ」



 地面に這い蹲っていた筈のコッペリアは、その足で地面に―――否、空中に立っていた。


 スーツ脚部に内蔵されたスラスターの出力でホバリングしているのだ。



 「初めから、おかしいと思ってやがりましたのよ……」



 ガネーシャが放つ拳打の威力は、一撃必殺。


 当たれば例え強化されたアバターラであろうと、死を免れない程の破壊力を持っている。


 しかし、だというのに、コッペリアはそこに違和感を感じていた。


 当たれば死ぬ。殺せる。そんな武器を持っているというのに、そこに在るべき筈の物を感じられなかったのだ。



 「アナタ、最初からワタクシを殺すつもりがありやがりませんでしたわね?」


 「…………」



 故に、試してみた。


 ギリギリの状況で、この男が本当に自分を殺すのかどうか、を。


 殺す“覚悟”があるのかどうかを。



 「アナタは、確かに強い……。ですが、“戦士”としては、二流以下のクズでやがりますわッ」


 「オレが……二流以下、だと……?」



 一撃必殺の拳。巧なステップ。足腰の強さに、戦闘技術その物の高さ。


 全てに於いて一流と思われるガネーシャに対し、コッペリアが下したのは。



 「アナタのその行動や考え方は、人によっては正しい物として映るのでやがりましょう。ですが、己の信念と命を賭けた者との戦いの場に於いて、それは相手への侮辱でしかありやがりませんわ」


 「ぶ、じょく……?」



 コッペリアはライフルを捨て、一度宙に身体を舞わせて地面に手が触れる程低く構える。



 「何が理由かなど知りやがりません。けれど、ワタクシには許せませんの」



 まるで、野生の獣。


 牙を剥き、得物を狩る肉食獣のように。



 「神聖な命の狩場に、無粋な正義など不要でやがりますわッ!!」


 「な……ッ!?」



 割れた仮面の向こうに現れたガネーシャの顔に、驚きが波紋を広げた。


 ライフルを捨て、徒手空拳を選んだコッペリアの動きが、余りにも人間離れしていた為だ。


 最早砂地など関係がない。


 ホバー走行で滑るように地を駆け、繰り出された蹴撃は神速。


 反射的に上体を反らして回避したが、その瞬間にガネーシャの頬を鋭い傷が走った。



 「これで、お相子でやがりますわ」



 連続で畳み掛ければそのまま倒し切る事も出来たのではないか、とそう思える程に余裕のある一撃だったというのに、コッペリアは敢えて追撃をせず、そこで砂塵を撒き、動きを止めていた。


 これに、ガネーシャは。



 「今まで……、手を抜いていたのか……っ」



 その顔に、怒りが滲む。


 が、それこそがコッペリアの思惑で。



 「ええ、そうでやがります。腹が立つでやがりましょう? 殺せる時に殺さない。真剣でないというのは」


 「……。確かに、そうかも知れんな」



 震える拳を解き、構えも解いて。―――一つ、深呼吸。


 それだけで、ガネーシャの顔から怒りが消えた。



 「流石は“プロ”でやがりますわね。己の御し方を良く理解していやがりますわ」


 「気付いて居たのか……?」



 問い返すガネーシャに、コッペリアは小さく頷き。



 「ベースとなっている格闘技術にクセが強過ぎでやがりますの。それに、筋肉の付き方や足運び、骨格に至るまで最適化されていやがります。これは、長年“ボクサー”として身体を虐め抜いた証左でやがりますわ」


 「フッ……、良く見ているな。そういう君の技は、余りに人間離れし過ぎているな。野生の獣のようにも見えるのに、それでいて機械のような精密さで制御されている。中国武術か何かか?」



 コッペリアは首を横に振り。



 「手本にした方が人間離れし過ぎていただけでやがりますの。それと、機械のような精密さ、という点に於いて、敢えて否定はしないで置きやがりますわ」


 「意味深、だが……今は、いい」


 「ええ、どうでも良い事でやがります」



 ガネーシャは再び両足をしっかりと地に付け、腰を落とし、拳をボクシングスタイルで構える。



 「確かに、君が言った通り、オレには覚悟が足りなかったのかも知れん。だが……」


 「解っていやがりますわ。その戦う姿勢、信念や意思の強さは、間違いなく本物でやがりましょう?」



 つまり、コッペリアがしたかったのは。


 戦う価値を見出せる相手。だからこそ残念でならなかった部分を指摘し、同じ舞台にまでガネーシャを引き上げたかった。


 それが理解出来た為か、彼の目にも初めて“戦士”が宿る。



 「行くぞ、今度は本当に、手加減抜きだ」


 「ばっちこいでやがりますわッ」



 ガネーシャはその瞬間、ゴング代わりと足元の流木を爪先で垂直に蹴り上げ。―――落着。



 「―――シッ!」


 「破ぁッ!」



 同時に放たれた拳撃と蹴撃が空中でぶつかり合い、互いが力を乗せ切る前に拮抗。


 弾けるように距離を取り、再び激闘の幕が開いた。



 「オレには、病気の家族が居る……。重い心臓の病。娘だ……ッ」


 「………っ」



 一切躊躇の無い拳打を向けながら、ガネーシャは突然、訥々とそれを語り出した。



 「まだ、六歳になったばかりだ……。本当なら、外を自由に駆け回り、遊びたい盛りの子供なんだ……ッ」



 何故、そんな事を語り出したのか、ガネーシャは自分自身でも理由が解らず、しかし、それでも苛烈な攻撃の手を緩める事だけはしない。



 「なのに、オレには……金が、ない……ッ! 良い医者に診せれば、治療も不可能ではないというのに……オレはッ!!」



 ―――彼は、元プロボクシングの選手だった。


 長年苦しい生活に耐え、続けて来たボクシングというスポーツ。その舞台で、ようやく努力が実を結ぼうとしていた頃だった。



 「絶望したよ、全く……ッ」



 苦楽を共にしてきた妻との間に生まれた子供。


 その娘に、生まれ付き心臓の病がある事が発覚したのだ。


 しかし、治療方法は既に確立されている病。

 金さえ出せば決して難しくはない手術だと聞かされた。


 だからこそ、彼はその“プロ”としてのデビュー戦に、それこそ命を賭けて挑んでいた。


 だが、それが不幸の始まりだった。



 「―――殺して、しまったんだ……ッ。この、拳で……ッ」



 コッペリアへと向けられる拳は、まるで彼女ではない、別の何かに向けられているようで。



 「オレは……っ、オレはただ、必死に戦っただけなんだッ! なのに、どうして……ッ!!」



 運が悪かった、としか言いようのない状況だった。


 対戦者は有名ジムの若手ホープ。

 対して彼は、しがない地方ジムの無名選手。


 勝てば大金星だった。

 その筈だったのだが。


 結果は、業務上過失致死の罪に問われ、業界を追放。


 本来、ボクシングの試合などで死亡事故が発生してしまった場合、選手は罪に問われる事が無い。


 しかし、もしそこに反則行為などがあった場合は、話しは別だ。


 実際には、彼は反則を行った訳ではない。

 だが、権力者が一言告げれば、その白は黒に変わる。


 そうして職を奪われた彼とその家族は、当然路頭に迷う事になり……。



 「娘の治療費を払う為に、妻は身売りした……っ! それにさえ気付けず、オレは……ッ!!」



 振るわれる拳に乗せられた怒りは、その度に破壊力を増して行き。



 「―――クッ!」


 「何故だ……!? どうして、オレが、家族ばかりが、こんな不幸な目に合わなければならないッ!!」



 挙句、そうした過去から逃げ出すように走ったゲームの世界で、彼は。



 「―――それを、利用された、という訳でやがりますわね……ッ」


 「ッ!?」



 突き出された必殺の拳。

 それを敢えて真正面から受けて立ち、掌で掴み取ったコッペリアは。



 「娘さんの治療費を肩代わりする代わりに、力を貸せとでも言われたのでやがりましょう?」


 「そうだ……。この戦いに勝利し、お前達を捕縛すれば、娘は……ッ!」



 が、そう叫ぶガネーシャに、コッペリアが取った行動は。



 「甘ったれんじゃねぇでやがりますわッ!!」


 「がっ!!?」



 ―――頭突き一発。


 拳を掴まれていたガネーシャに交わす術などなく。


 グラリ、と脳が揺れた。



 「委細理解致しやがりましたわ。だからこそ、敢えて言わせて頂きやがりますが」



 間近にあるコッペリアの顔に、ガネーシャは反撃する事も出来ず。



 「ボクサーとして職を失ったのも、奥さんが身売りしたのも、娘さんの病気を治せないのも、結局の所アナタの不甲斐なさが招いた結果ではありやがりませんか」


 「ち、違う……! オレは、必死に―――」


 「必死? 本当に、そう言い切れやがりますの?」


 「な、にを……」



 コッペリアは自分のオデコを摩りながら、深く溜め息を吐き、ガネーシャを突き飛ばして。



 「相手選手の情報を事前に知っていながら、リング過を起こしてしまったのは何故でやがりますの? どうして奥さんが身売りしなければならない程生活が追い詰められていたというのに、アナタは気付かなかったんですの? 最悪、死ぬ気になれば人間一財産くらいワリと簡単に作れやがりますのに、どうしてそうしなかったんですの?」


 「それ、は―――」



 思わず言葉に詰まり、言い返せないガネーシャに、畳み掛けるようにコッペリアは言い放つ。



 「アナタはただ、プロボクサーという自分の夢を諦めきれなかっただけじゃありやがりませんか」


 「―――っ!」



 その一言は、頭突きを喰らった時以上の衝撃だった。



 「それ程家族を愛していたというのなら、本当に必死だったというのなら、それこそ多額の生命保険を自分にかけて自殺でも何でもすれば良かったんではありやがりませんか? どうして、そうしなかったんでやがりますの?」


 「う……っ」


 「はぁ〜……。必死なんて言葉を、そう軽々と使って欲しくはありやがりませんわね」



 コッペリアは知っている。


 本当に必死になった人間がどんな行動を起こすのかを。


 人の身を得て、死を学び取ったからこそ、その答えは見出せた物だった。



 「ワタクシ、火災に巻き込まれて死んだ親子を見た事がありやがりますの」



 それは、札幌の街が初めて前史外生物に襲われた際の記憶。



 「父親と母親が、焼け崩れた建物の下敷きになっていましたわ。死んだ娘を庇うように二人が覆い被さり、抱え込むようにしてでやがります」


 「な―――っ」


 「家族を守る為に、たった一人で爆弾を抱え、前史外生物に突攻した自衛官の方も知っていやがりますし、飢えた栄養失調の子供の為に、自分自身の身体を切り落として食料にした母親も見た事がありやがります」


 他にも、沢山。と、そう付け加え、コッペリアは尋ねる。



 「もう一度お聞きしやがりますわ。―――アナタ、本当に自分が必死だったと、そう言い切れやがりますの?」


 「……っ、……っ」



 実力はある。だというのに、この男に決定的に足りない物。



 「アナタには、“覚悟”が足りやがりませんわ」



 己の命を賭す覚悟。


 他人の命を踏み躙る覚悟。


 彼には、それがまるで足りていなかった。



 「―――どうすれば、良かったと、言うんだ……。どうすればっ!!」


 「は? 挙句の果てには、自分で考える事さえ放棄なさるのでやがりますか……?」


 「くっ、それでもっ、オレはっ!」



 地面に拳を立て、立ち上がるガネーシャに、コッペリアは侮蔑の目を向けた。



 「無様、でやがりますわね」


 「―――き、さまぁあッ!!」



 そのクセ、プライドだけは高い。と付け加え、殴り掛かって来たガネーシャのお粗末な足運びに爪先を掛けた。



 「うぐっ!?」



 当然、ガネーシャは顔から砂地にツッコミ、転倒する。



 「そうまで言い張るのでやがるなら、今一度だけ、チャンスを差し上げやがりますわ」


 「チャンス……、だと……!?」



 コッペリアはニタリと笑みを浮かべ、そして。



 「ワタクシの軍門に下りやがりませ。そうすれば、アナタをもう一度プロボクサーとして返り咲かせて差し上げやがりますわ」


 「なに……っ!?」


 「ただし、米軍に押さえられている娘さんの命までは、知ったこっちゃございませんの。勝手に野垂れ死ぬと良いでやがります」


 「ッ!?」



 逡巡。そして、そこに迷いが生じた瞬間、ガネーシャは気付かされた。



 「迷いやがりましたわね。娘さんの命と、自分の夢を秤にかけやがりましたわね」


 「オ、レは……っ、なんて、事を……っッ」



 自分自身の迷いに、ガネーシャは頭を抱え、蹲る。


 だというのに、コッペリアは。



 「では、もう一つ別の条件を出して差し上げやがりますわ」



 既に混沌とした目を虚空に彷徨わせるだけのガネーシャに、コッペリアは追い打ちをかける。



 「娘さんの病気、治してさしあげやがります。その代わりに、アナタが此処で死にやがりなさいませ」


 「オレ、が……、死……」


 「ええ、そうすれば、娘さんの命はワタクシがどんな手段を使ってでも治して差し上げやがりますわ」



 目の前をユラリとチラつく希望。


 そこに手を伸ばし、縋り付けば、少なくともどちらか一方を選び取る事が出来るかも知れない。


 思考は単純化されて行き、ガネーシャはその手をコッペリアへと向けて伸ばしかけ―――しかし。



 「―――馬鹿に、するな……ッ」



 ガネーシャは一言、そう呟いて、目の前で砂地に埋まっていた岩肌に思い切り自分の額を叩き付けた。


 ジワリと滲む血が頬を伝い、砂地にポタリと零れ。


 それを睨み付けて、ガネーシャは膝を立てる。



 「いや……、オレは……馬鹿、だったんだな」



 フラリと、脳震盪で揺れたまま両足をしっかりと立て、コッペリアに背を向けたままで。



 「やっぱり、アンタに話してみて、良かった……」



 自分でも、薄々気付いては居たのだろう。


 しかし、そこから意図的に目を背け、そして尚誰かに縋ろうとしていた。


 その己自身の情けなさに奥歯を噛み締め、ガネーシャは振り返る。



 「―――折角の申し出だが、どちらもお断りだ……ッ」



 コッペリアは見る。


 ガネーシャの瞳の奥に映る、今までは見出す事の出来なかった熱い炎を。



 「そうでやがりますか、であれば、嬉しい限りでやがりますわ」



 ニッコリと笑みを浮かべ、コッペリアは先ほど以上に気を引き締めた。



 「悪いが、少し付き合ってくれ」


 「ええ、存分に。でやがりますわ」



 拳を構え、呼吸を整えたガネーシャの姿は、まるで別人のように。


 対してコッペリアは、内心でそのスリルを楽しみながら再び姿勢を低く構え。



 「此処から先は―――」


 「―――ガチでやがりますわッ!」



 互いに全く同時、砂塵を爆破させ、激突する。

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