第二十一話
第二十一話「炎の巨人」
―――ムスペルヘイムの各地に点在する火山洞。その一つ。
溶岩と灼熱の大気、そして有毒ガスが充満する洞穴内は、今やアバターラ達とショゴスが死闘を演ずる戦場と化していた。
「破ァッ!!」
谺するのは、バーゲストの咆哮。
引き裂かれるショゴスの肉片が砕け、体液を撒き散らしてドロドロに焼けた溶岩に焦げ落ちる。
圧倒的武技。
絶対的膂力。
黒妖犬と人型という二つのアバターを使い分け、緩急を付けた虚実を伴う体捌きでショゴスに一切狙いを定めさせないその動きは、凡そ人の物とは思えない物だった。
野生の獣ですら成す事叶わぬ機動力で天地を駆け、四方八方あらゆる角度から繰り出される拳撃と蹴撃。
その一撃一撃は必殺必滅の威力を以ってショゴスの巨体を削り。
「―――チッ、まだ削り足りないッ!」
その体積を相当に小さくしているというのに、ショゴスは未だ倒れなかった。
「クッソ! コイツ、タフ過ぎんぜッ」
「大きいだけ、ありますね……っ」
「その分、ドロップも多い。―――って、期待するしかないッスよ!」
ヒデアキが放つヴェントジャヴェロットと、シバタの聖獣“シャルロット”が、立て続けに間隙を縫ってショゴスの体力を更に削る。
戦闘が始まってから、かれこれ1時間近い時間が経過しているというのに、未だショゴスは倒れない。
動きこそ多少鈍ったが、その攻撃力はむしろ上がってさえいるように感じられた。
「コイツも必死って事……かしら、ねッ!」
黒狼甲の牙が鋭く突き立てられ、怯むショゴス。
が、反射的に繰り出される触手が寸前で交わした私の頬を僅かに掠めた。
「痛ぅっ、コイツ……ッ」
「カスミ殿! 下がって回復するでござる!」
「ゴメン、カズ! お願いッ!」
集中力が大分落ちてる。
あの程度の攻撃に反応出来ていないのがその証拠だ。
しかし、受けたのが鎧であればまだ良い。
だけど、傷付けられたのが生身の部分だった場合、この小さな傷でさえ放っておくと致命傷になる。
ショゴスの体液が持つ強酸性の消化液は、それ程の脅威だった。
私は間に割って入ったカズに一旦その場を任せ、即座にバックステップ。
急いでチヒロの下まで後退し、滑り込みながら膝を折った。
「―――クッ、ゴメン。チヒロ……ッ」
「気にしないで。それより……酷い! 女の子の顔を何だと思ってるのよ、アイツ……!」
「……ハハ。けど、それこそ、気にするなって話し。身嗜みだの何だの、そういうの私、気にした事ないからさ」
「ええーっ!? バーゲストさん美人なんですから、もっと気を遣った方がいいですよー」
「いや、まぁ……ハハ」
―――失笑。
戦場でするような会話じゃないけど、そういえば、なんて思い出した。
(女の子同士のお喋りって、こんなだっけね……)
最近、同い年くらいの女の子とマトモな雑談とかした事なかった。
たぶん、“あの頃”以来、だと思う。
エインヘリャルに参加して直ぐ、カナを含めて同年代の女の知り合いは増えたけど、こんな状況で慌ただしい所為もあって、雑談らしい雑談なんて、してる暇がなかったから。
「―――はい! バッチリ傷跡も残ってませんよ。綺麗なお顔です!」
「サンキュ、チヒロ。行ってくる!」
回復魔法のお陰で傷の痛みも、毒素による苦しさも消えた。
チヒロ様々って感じだけど、礼もそこそこに、私はまた直ぐ前線まで駆ける。
「ゴメン、カズ。助かった!」
「何のこれしき、でござるよ!」
私が抜けた穴を埋める為、奮闘していたカズと入れ替わるように前に出て、直ぐ様低下したDPSを上げて行く。
しかし、と、私はショゴスを殴り付けながら気付いた。
(“コッチ”での戦闘って、やっぱゲームとは全然違う……)
それは、精神的・システム的な話しではなくて。
追い詰められて行くショゴスを見ていて、気付いた事だ。
基本的に、ゲームの中のザコモンスターは、戦っている最中にその戦闘パターンを変化させる事は余り無い。
ボスクラスの敵になれば、HPが一定値まで低下する事でガラリと使ってくる技を変えるような奴もいるけれど。
でも、そういうのとも違う。
コイツも、他のモンスターも、みんな必死なのだ。
ダメージを負わせる程に、体力が減って行く程に、その必死さは増して行く。
スタミナが落ちて動きは緩慢になるのに、攻撃の威力は最初とは比較にならない程上がったりして。
矢鱈に大暴れしたり、予想も出来ないような反応を見せたり。
多分、これが本当の“リアル”って奴で、野生の動物達にとっては、当たり前の事で。
(獰猛な肉食獣が、狩りの時に温厚な草食獣の反撃を受けて、致命傷を負ってしまう事があるけど……)
まさに、それだ。
誰も死にたいなんて思ってはいなくて、だから必死に足掻いて、抗って、そうやって生きてる。
此処には、ゲームでは学ぶ事の出来なかった“生”の本質がある。
だから、私は……。
「―――ゴメン。だけど……ッ」
それでも、この子を殺さなければならない。
例え見た目は化物でも、生き物でも、苦しそうに“泣いている”としても。
「これ以上、長引かせたくない。だから……ッ!!」
この子の為にも。と、私は更にギアを上げ、私のエゴを叩き付ける。
「届けぇぇええええーッ!!」
「■■■■ぉ―――ッ!!」
地面すれすれの突撃から踏鳴。
同時に拳を突き上げて体表を縦に大きく破壊。
次いで、剥き出しになった体内へ回転と捻り、遠心力を加えた後ろ蹴り。
大きく陥没する体内はしかし、その衝撃に耐え切る。が、そこへ更に一歩前へ。
水を足場に変える要領で粘性の強いショゴスの体組織に踏み込み、更に回転と捻りを最大限加えた上で尚大きく息を吸い込んで瞬間的に呼吸を停止。
弓の弦を引き絞るが如く全身の筋肉を撓め、蹴りの衝撃が逃げ切るより早く―――。
「―――絶拳ッ!!!」
雷撃を思わせる程の威力を乗せ、最高速・最大筋力の拳を突き立てた。
「■■■■ッ!?」
直後、波打ったショゴスの全身が、爆薬を呑み込んだかのように内側から大きく膨らみ―――そして、弾け飛んだ。
「す、すっげぇ……」
「マジッスか……」
格闘による打撃が、まさか。と言わんばかりにヒデアキとシバタを唖然とさせる。
「カスミ殿ッ」
「うん、判ってる」
確かに、特大のダメージを受け、ショゴスの巨体は爆散した。
しかし、まだ終わってはいない。
その証拠に、ショゴスの核と思しき部位は未だ健在で、辛うじて地面を這いずっていたのだ。
「……こんなになっても、まだ……」
最初は、全長10メートルを超える巨体だった。
それが、今では見る影もない程小さくなって。
「カスミ殿、トドメを……お願いするでござるよ」
「―――うん」
私の足元には、掌サイズの小さな結晶体とその周囲に辛うじて纏わり付いた肉片。
私はそれを拾い上げ、強酸で掌に火傷を負うのも躊躇わず。
「バイバイ。絶対、無駄にはしないから……」
それを、握り潰した。―――と、同時。
チャリリン、と耳を打つ電子的な音が鳴る。
「っしゃー! キタキタァーッ!」
「おお! マジ大漁じゃん!? ヒャッホーゥ!」
「やっぱり、大きいとドロップも期待出来る物なんですねー!」
私とカズの背後で、勝利に沸くチヒロ達。
ショゴスの討伐がシステム的に完了し、その報酬としてドロップ品が分配されたのだ。
私のインベントリにも、彼らと同様にドロップ品が流れ込み、そこには確かに『ポリイミド』の名前もあった。
「みんな、お疲れでござる!」
「お疲れー!」
「いやぁーしっかし、最後の副団長のコンボ、アレヤバかったなぁ!」
「流石って感じですよねー」
「アッパーから回し蹴りして、そっから更にストレート! 威力ッパねぇッス」
「爆弾だろ、爆弾」
「ホントそれ!」
「爆発してましたもんね、マジで」
笑い合う仲間達。あと、回し蹴りじゃなくて、後ろ蹴りだから。
勝利。目標の入手。達成感。
気持ちは、解る。
私だって、嬉しくないワケじゃない。
だけど、彼らのように素直には喜べなくて。
「―――ワンコちゃんは、思ったより繊細じゃの」
「誰がワンコちゃんだ」
ペンッ、とお尻を叩かれ、振り返った先にはガンツの爺さんが居た。
「あと、セクハラ」
「ホッホッ、堅い事言うない」
「ったく……」
何時の間にやら集まって来た技能士達も集まり、ドロップ品の数を確認し始めた。
結果、目的のポリイミドは数も十分。
一先ず、“あの子”の死も、無駄にはならずに済んだらしい。
とはいえ、コレで私ら戦闘要員の仕事も終わり。
此処に来るまで、粗方洞窟内の掃除も終わっているし、後は技能士軍団の仕事だ。
最低限、周囲の警戒やら休息やらを取って、撤収するだけの簡単なお仕事。
「そんじゃ、カズと私で向こうの入り口警戒しとくから、チヒロらは後ろの出口見張っといてくれる?」
「了解です!」
「おう!」
「で、爺さんらは、さっさと採掘開始! ちんたらやってたら、寝る暇無くなるよー」
「うむ、そうじゃな。ホレ、皆の衆、ワシらの出番じゃぞー!」
「「「はーい!」」」
こうして、ようやく技能士達が採掘出来る状況になり、トンテンカントンテンカンとピッケルで岩盤を掘り起こしてるワケだけど……。
なんだか掌に違和感を感じ。
「あ……!」
「―――ん、カスミ殿?」
洞窟の奥へと続く道を警戒していた矢先、自分の手の有様にようやく気付いた。
「カ、カスミ殿! その手……さっきの!?」
「あっはは……、感傷に浸り切っちゃってて、忘れてたわ……」
チリチリと焼け爛れた私の掌。
ショゴスの核を握り潰した時、その体液で火傷したのをすっかり忘れていた。
まぁ、この程度の火傷なら、戦闘中でも無いし、放っておいても強化されたアバターラの治癒能力で自然回復するんだけれど。
「駄目でござるよー! 幾ら治癒能力が高くても、このまま放っておいたら痕が残ってしまうでござるっ」
「べ、別にイイって、こんなの直ぐ治るし……」
「駄目でござる! 手、出すでござるよ!」
強引に手を取られ、カズは取り出した回復薬でその傷を洗い流す。
こういうのって、どっちかっていうと立場が逆な気も……?
あと、ちょっと染みる。
「女の子なんでござるから、もう少し傷には気を遣うでござる」
「耳タコ……。さっき、チヒロにも言われた」
「そりゃ言うでござるよ。カスミ殿は美人さんでござるからな」
「―――っ」
あれ、なんだろ。
チヒロに言われた時は何も思わなかったのに、コイツに言われると、なんか……。
「およ、どうしたでござる?」
「なっ、なんでもないっての! そっち向いてろ!」
思わず平手打ち。
「り、理不尽でござる……っ」
馬鹿馬鹿しい。
こんなブタメン相手に、何をしているのやら。
なんだか妙な気分になってしまい、私は頭を振る。
(集中集中! まだ仕事終わってないんだから……!)
こんなラブコメみたいな展開、正直求めてない!
私は、孤独を愛する孤高のボッチ!
―――微妙に、自虐してる感が否めないけど……。
「そういやさ、カズ」
「んぉ、なんでござる?」
適当に何か話してこの流れを変える!
そう思って尋ねた事を、私は後になって後悔した。
「アンタ、体重幾つあんの?」
「120でござるよ?」
「ひゃっ、はぁー!?」
「ヒデアキ殿の真似でござるか?」
「ちゃうわっ!」
120キロ、だと……?
デブいとは思ってたけど、まさかそれ程とは……。
「……痩せろ(―――私の為に)」
「うぇえ! いきなりでござるな!?」
「いいから、痩せろ。今すぐ」
「む、無茶でござるよーっ」
ないわー。120とかないわー。
ブタメン以前に、不健康極まりないわー。
―――なんて、上手く話しを流せた気になっていたのだけれど。
「……ん」
何か、振動というか、音が聞こえた気がした。
それも、凄く遠く、深い場所から。
「ねぇ、カズ。何か聞こえない?」
「んえ、別にコレといって何も聞こえないでござるが―――」
と、話している間にも。
―――ドッドッドッドッ。
「いや、やっぱ聞こえるって。何の音、これ」
「んん〜……?」
カズには聞き取れていないらしい。
けど、私は確実にその音を鼓膜で拾い切れていた。
自分で言うのも何だけど、私の聴力は人間の6倍近くあるらしく、犬っぽい。
音を感じ取る範囲に関しても一般的な人間のそれに比べて広く、4倍近い。……やっぱり、犬っぽい。
その所為か、遠く離れた場所で発生した音にも人間より遥かに敏感で、今もそれが何処から響いているのか体感的に感じ取れている。
それは、火山洞の奥。
私の目の前にある穴のずっと先から響いていて―――。
「―――アレ、これちょっと、ヤバゲ?」
「ど、どうしたんでござるか、突然。何か聞こえるんでござる?」
「ちょ、静かに……っ」
聴覚に意識を集中し、正確な位置を特定しようと聞き入っていたのだが。
(……ヤバイ。なんか分かんないけど、コレ絶対ヤバイッ)
そう感じ取った瞬間、私は声を張り上げた。
「全員、作業中止ッ!!」
その声に驚き、顔を上げる技能士達。
それは、カズや他の戦闘要員達も同様で。
「なんじゃっ、いきなりどうした?!」
「分かんない! 分かんないけど、なんかヤバイのがコッチに近付いて来てるッ!」
「な、なんじゃい、要領を得んのぅ」
「もう何でもいいから、早く作業止めて!」
そう言っている側から、地鳴りのような轟音は次第に距離を詰めて来ていて。
「何かあったんですか?!」
チヒロが駆け寄って来たその時には、もう音の元凶は直ぐそこにまで近付いていた。
「なに、この振動……?」
「なんか、物凄い音が―――」
と、ようやくその音に気付いたカズが洞窟の奥へと視線を向けた瞬間だった。
(―――ヤバッ)
反射的に手を伸ばしたが、届かない。
そこに向かい、突然洞窟の奥が真っ赤に染まって。
「なに……、アレ……っ」
「チヒロ殿ッ!!」
私と同様、カズも直ぐに反応したが、チヒロはただ茫然とそれを見上げただけだった。
動けない。間に合わない。そう感じた瞬間。
「―――キャアアアアアアアアッ!!」
洞窟の奥から噴き出した真っ赤な炎の塊が、チヒロの小柄な身体をいとも容易く吹き飛ばしてしまった。
―――爆音。が、鳴り響く。
私達が見ていた洞窟の奥へと続く道は、最早見る影も無く崩れ去り、大量の瓦礫が散弾のように射出される。
私ですら反応し切れず、爆風に煽られて地面を転がっていたが、滑りながらも態勢を整え、顔を上げると。
「……冗談、でしょ」
最初は、火を噴く岩石の塊。そう、思った。
でも、それは全体の一部でしかなくて。
見上げれば、それは岩壁のようにそそり立ち、動き出したその偉容に、ようやく全体像を把握できる。そんな“モノ”。
「きょ、じん……?」
巨人……。それも、紅蓮の炎に包まれた。
頭頂部までは、多分12〜13メートル以上ある。
人の形をしてはいるけど、その体表は熱せられた黒い岩石のようで。
手足だけでも、自動車並みの太さがあり、胴回りに至ってはタンクローリーより太いくらい。
そんな物が、どうやってあの洞窟を抜けて来たのか、と考え、絶句する。
穴を抉じ開けて進んで来たに決まってる。
そうでなければ、あんな爆発が起こる筈も無く―――と、それで思い出した。
「―――チヒロッ!?」
カズはあの防御力だ、吹き飛ばされた所で、まず心配は無いだろう。
でも、あの爆発に正面から巻き込まれたチヒロは、いったいどうなってしまったのか。
「……う、ぅう……」
パラパラと土砂が降り注ぐ中、微かに聞こえた呻き声。
その方向に目を向け、私は一瞬で蒼白となる。
土煙が立ち込める中、彼女の右腕と右足が、有り得ない方向を向いて曲がってるのを見た。
しかも、額からは大量の出血。
呻いてるという事は、辛うじて命は取り留めたのだろうけど、それでも、アレは……!
「マズ……ッ」
私が判断するよりも先に、巨体が動き始めていた。
その進行方向にあるのは、チヒロの身体だ。
動け! 動け! 動け!
このままだと、チヒロが踏み潰されてしまう!
―――が、間に合わない。
「チヒロッ!!」
声を張り上げた所で、どうなるというのか。
手を伸ばして、それが届く筈も無く。
無情にも踏み下ろされる巨人の足が、今まさにチヒロの身体を覆い隠そうとした、その瞬間だった。
「―――やぁめぇろおおおおおおおおおおおッ!!」
「■■■■■■■■ッ!!?」
獣のような咆哮を上げ、100トンはありそうな巨人の足を、彗星の如く飛び込んで来た“蒼金”が受け止め、事もあろうか“弾き返した”のだ。
グラリ、と傾ぐ巨体。
直ぐにバランスを取って後退るが、その巨人ですら驚いて見ているソレは。
「……カズッ! グッジョブ! 良くやった!!」
「応さッ!!」
まったく、コイツはなんて頼もしい!
メイン盾キタ! これで勝つる!
「あーもう! アンタマジ最高! 愛してるわ、カズ!!」
「うぇえっ!? あ、あいしって……ボクぅっ!?」
思わず駆け寄って全力でハグ。
でも、そんな事してる場合じゃない事くらい、私の頭は既に理解してる。
そっから、私の思考は高速回転を始めた。
(―――コイツは、普通じゃない!)
カズの事じゃない。
いや、カズが遣って退けた事も普通じゃないけど、それとは別に。この巨人が、だ。
コレが神話通りかどうかは判らないけど、もしそうだとすれば、ムスペルヘイムに居る巨人なんてたった一人くらいしか思い付かないのだ。
この現史世界は、既にナグナレクを経た滅亡後の世界という設定をPYOから引き継いでいる。
本来、オーディンを含む神々や巨人は、その大部分が死滅している筈なのだ。
(―――そう、“ただ一体”を残して……)
ムスペルヘイムは、世界の始まりから存在し、最後のその瞬間まで存在し続けた場所。
ラグナレクという神々の最終戦争は、そのムスペルヘイムに住む巨人の一族が締め括る筈だ。
ムスペルの巨人が“全てを焼き尽くす”、という結末で。
つまり、これは可能性の話しだが、生き残っているムスペルの巨人族と言えば、それは―――。
「神々を鏖殺せしめる者……。“黒き巨人スルト”……!」




