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彗駆の勘銃手〜オレは何しに異世界へ!?〜  作者: 諏訪秋風
第一章「彗星の如く駆けるは異世界」
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第7話 part1「歓迎されし者」

銃の機構や木そのものを手当り次第に触りまくり、思いつく限りの方法を試すこと6回。ようやく【宿り木】の木を消すことに成功した。


「なんだ、もう一回撃てば良かったのか…」


これ以上は消せない木を増やしたくないという思いからか、撃つ行為を含む方法を無意識に避けていた。そのせいで時間がかかったが、遠距離狙撃用の形態に変える方法が分かったので良しとしよう。


結局のところ、木の消し方はもう1度【宿り木】の弾を木に撃つだけだ。弾が当たった箇所から木全体に光が広がっていき、光り輝く木となったのち弾けるように消える。


「よかったー。これで後処理を任されずに済むわ」


さっきは別にどちらでも構わないと言っていたカノンが安心したようにそう言った。


カノンに頼めば強制的に魔法で消せた。

ミミズと一緒に消えたことで確認済みだ。

だが、効率が悪いのと自力で解除できないのは後々困るという理由で、こうして解除方法の発見を急いだわけだ。

カノンとシュロンにもそれに付き合ってもらったのだが、最初は先に帰ってもらうつもりだった。

「走ればどうせ追いつけるだろうから」と言ったら「身の安全を考慮してないわね」と怒って、魔力切れで辛そうなのに残ってくれた。



「お待たせしてスイマセン!さぁ急いで帰りましょう!」


既に日は沈みかけており、刻一刻と夜の闇が近づいている。いくら人間が強いと言っても異世界の夜は魔物たちの時間のはずだ。シュロンさんのことも考えると、俺は急いで村に戻りたかった。


「別に、そんなに急がなくても夕飯と温泉は逃げないわよ?」


…あっ(察し)


「えっ、と…?なんで二人はそんなに呑気なの?夜になれば魔物とかが出るんじゃないの?」


答えの予想はついている。

だが、受け入れたくない。

夢と楽しみが減ってしまう。


「それ、いつの話よ…。万が一出てきたとしても、倒せるんだし問題ないでしょ?」


…残念ながらモンスター達は消えてしました。

いや、まだ襲ってくる奴はいる!


「じゃあ…!正体不明の犯人が闇夜に紛れて襲ってきたら…」


「私が殺気を読んで先に仕留めるわ〜。それくらい余裕だから、心配御無用よ〜」


俺の言葉に、目だけが笑ってないシュロンがそう被せてきた。その迫力に思わず生唾を飲み込む。


「…なんと頼もしい…。ちょっと…犯人が気の毒になってきた」



こうして、俺達はのーんびりと暗くなりつつある田舎道を歩いて帰っていった。



─────────────────



遠くに見える村には明かりがともり、さながら陸の灯台のようになった。おかげで真っ暗になっても道を見失うことなく、敵の襲撃もなく帰りついた。


着いて早々、またしても通りで住人たちに捕まって、カノンのお婿さん扱いされた。

何度も繰り返した対応をしている間に、次々と畑仕事を終えた人が村へと帰ってくる。

人だかりは人を呼び、俺はあっという間に数十人に取り囲まれてしまった。


悪気はないのだろうが、疲れているときに大勢の人に囲まれて質問攻めに合うとかなり辛い。


そしてそれは

…過去の嫌な出来事と重なった。



俺は人の垣根をくぐり抜ける。

二人を残したまま、強化された脚力でもって真っ先に教会へと駆け込んだ。



「おっかえりー!!」



勢いよく扉を開けると同時に、見た目は同い年くらいの赤髪赤目爽やかイケメンが出迎えてくれた。





束の間の静寂の後、その口が滑らかに動き出す。


「…あっ…ごめんなさい!!人違いでした!!!えーっと…あれ?名前が思い出せない……初対面…ですよね?いや、もしどこかで会ってたらごめんなさい!!!」



元気すぎるリアクションだが、別にチャラくはない。

でも、面食らって動けなかった。


「だ、大丈夫…ですよ!間違いなく初対面ですから!!えーっと、クライスさん…ですか?」


なんの話か忘れたが、どこかでカノンが義兄さんのことをそう呼んでいたのを思い出す。この人がそうだと、なんとなく分かった。


「えっ!僕のことを知ってるんですか!?参ったな〜、僕は貴方のこと何も知らないっていうのに…」


彼の格好は白を基調とし青赤金で装飾された騎士風の正装だ。

いい人オーラと騎士オーラが溢れ出ている。

事情を話しても良さそうだと思わされる安心感と親しみやすさを、剣の代わりに携えていた。


「そりゃそうでしょ。だって俺は今朝、異世界からやって来たばかりなんですから!ちなみに俺の名前は芦田風雅です。歳はこう見えて18なので、タメ口でどうぞ」


それだけ聞くと、クライスは紅い目を丸くして素っ頓狂なリアクションをした。


「うっそー!?フーガ君、年下なの!?どこからどう見ても年上にしか見えないよ…。えっ、28の間違いじゃなくて…?」


「正真正銘の18歳です…。ていうか、そっちに食いつくんですね」


見た目に関しては特に気にしていなかった。

だが、俺ならどんなに老けた奴でも、異世界から来たことの方に興味を持つ。

そんなにおかしな事なのだろうか…?

カノンとシュロンとは違う反応だ。


「ちょっと!置いてくなんて酷いじゃない!!」


「そうよ~。せっかくフーガのことを紹介しようと思ったのに~」


噂をすれば、なんとやら。

村人の質問攻めを急いで抜けてきたのであろう二人が、教会のドアを勢いよく開けて入ってきた。

その勢いは凄まじく、外開きでなければ男2人が情けなく弾き飛ばされていたところだ。


俺と違って、少しも驚いていないクライスが真っ先に二人に声をかける。


「あっ!おっかえり〜!え、何?ふたりともフーガ君と知り合いだったの!?」


「ただいま〜クライス。…あら、貴方まさか、私があれだけお世話になったフーガ君のこと…分からないの…?」


「えぇ!?やっぱり!!そんな気がしてたんだ!!ゴメンよフーガ君!すぐに思い出すからちょっとだけ待ってて!!」


「えっ……?アッハイ」


何を言うべきか迷ってシュロンの方を見たら、ウインクされた。なるほど、黙っていた方が面白そうだ。


「あっ!!もしかして、昔助けられたっていう黒髪の吟遊詩人さん!?」


「ブー!ていうか、それは18年前の話だから、フーガ君はまだ赤ちゃんよ?さぁて、分かるかしら〜?」


「あっ、そうか…。えっー…と…うーん」


答えのない問いに対して、オーバーに頭を抱えるクライスは見ていてとても面白い。俺が異世界から来たことが聞こえていたなら、問題に矛盾があることに気づくだろう。この様子では聞き逃したようだ。


ネタばらしの前にカノンに謝っておこう。

今回も逃げ出した俺が悪いのだから…。


「フーガ…さっきはごめんね?皆、あなたに興味津々なのよ」


怒っていたはずのカノンに申し訳なさそうに謝罪された。

…なんだか、前にも俺の行動を先取りされた気がするな。


「…なんでカノンが謝るんだ?後回しにして逃げた俺が悪いんだ。だから、謝りたいのは俺の方なのに…」


「だって…皆に質問されているときのフーガ……辛そうに見えた気がしたから…。私のせいで辛い思いをさせちゃったのかなって…。」


クライスをからかっている間、ずっと黙って何を考えてるのかと思ったら…


「そんなこと考えてたのか。気にし過ぎだ、バカ」


「ちょっと!?馬鹿って何よ!!フーガこそ謝るとこが違うのよ!逃げて何が悪いの!?謝るなら私たちを置き去りにしたことでしょ!?」


「あぁ…。それも悪かった、本当にすまない…。だけど、逃げることは悪いことだろ。尻拭いをする奴が不幸になるんだから…」


頭では分かっていてもできない未熟者に、この発言は特大のブーメランとなって返ってくるはずだった。


「そんなの、それを不幸と思わない人に拭ってもらえばいいじゃない!フーガのいた世界ではそうだったのかもしれないけど、この世界では自然とそうなるわ!…今の私が、そのいいたとえよ」


目の前の相手は、放ったブーメランをキャッチしてしまう普通じゃない子だった。


「…ほんと、この世界はどうなってるんだ?よく分からん…。」


だが、優しい世界なのは間違いない。

俺は顔を綻ばせてそう呟いた。



「そのうち分かるわよ。それと…もう一つ謝らないといけないんだけど…」


「なんだ?今の俺は怒らないから安心して言っていいぞ」


「今からここで歓迎会をするそうよ。…村のみんなで」


なるほど。

確かに自分で尻拭いをしていれば、周りの人が不幸になることはないな。


「まぁ、ちょうどいい機会だ。俺がこの村、ついでにこの世界において、どういう扱いなのかハッキリさせたかったところだ!」

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