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Ice A GE(アイスエイジ)  作者: 重山ローマ
5章 嘘つきの火傷
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 気になるのは絵のサイズの違いだった。

 剣、杯、杖、硬貨の4枚の絵画と、壁にある3枚の絵画は大きさが違う。

 2つを選んで壁に嵌めることは、なにか間違っているような気がした。

「ん?」

「ノゾムなにかあった?」

「ああ、ここ見て」


 2つの窪み。

 そこにはただ窪みがあるだけだと思い込んでいたが――。


「右側の窪み――3枚目、女の子の絵の左隣だ。窪みの下になにか傷がある」

「ほんとだ」


 なにかが引っかかったのか。

 よく見るとその窪みの下側は少しばかり欠けてしまっていて、これでは絵を嵌めたとしても落ちてしまうだろう。


「違うな。ここには絵があったんだ。4枚目の絵が」

「じゃあどこに?」

「持ち去られたか、あるいは……」

「あるいは?」


 部屋を改めて見渡してみる。

 通ってきたはずの扉はすでに閉じてしまって、どこからはいってきたのかもわからなくなっていた。

 閉まった音もせず、あったはずの扉がなくなっているのだ。

 まったくの別空間に急に飛ばされたような――。

 この部屋には壁全てに意味があるのだろう。

 嵌められている絵も、きっとそうだ。


「この傷、床まで続いている。床まで行く途中で切れたわけでもない。床に落ちたのなら、跡がこうして床と壁の境まで残っているのは変な話だ」

「つまり、その……この下にまで続いているってこと?」


 床を指差して、琴子は苦笑いを浮かべる。

 答えは見つかった。

 あとはそれまでの過程である。


「剣、杯、杖、硬貨――この4枚の絵と同じくらいの窪みが床にないか見て回ってほしい」

「あ、あった! ここ!」


 覗き込んでみる。

 そこには杖のマークが描かれていた。


「あと3つ――」


 全部で4つ窪みを見つけることはできた。

 絵の数と一致する。


「結局二択かよ!」

「わっ、急に大きい声ださないでよ!」


 4つの窪みのうち、2つにはマークがあった。

 杖と硬貨。

 絵もその2つを当てはめてみるとぴったりだった。

 あと2つがわからない。

 削れてしまったのか、マークが消えてしまっているのだ。


「間違えたって大丈夫でしょ。血もないし」

「あのなあ琴子。壁の絵のトラップは、おそらく触れると――」


 小石を絵に向かって投げてみる。

 触れると同時に壁からいくつもの槍が飛び出してきた。


「ま、あれで串刺しというわけだ。だから床に血と骨がある。だって床に穴が空いているわけじゃないからな」

「……ちょっと、やめてよね。建物の中でスカイダイビングとか、冗談にもならないじゃない」

「まあ可能性の話だ。よし試しにこっちを……」

「ちゃんと考えてよ!」


 もちろん考えなしにそうするわけではない。


「これにヒントはないんだよ。マークっていう答えが本来はあったんだから」

「でも……」


 僕は絵を床に並べた。


「じゃんけんしよう」

「なんでよ」

「勝った方に運があると考えるか、負けた方に運が残っていると考えるか――琴子はどう思う?」

「それっていま必要な話?」

「ああ、すごく大事な話だ」


 琴子は少し考えるような素振りを見せたあと


「後者ね。やっぱりみんな平等であってほしいし」

「よし。じゃあ説明する。じゃんけんに負けた方から見て左の絵を、じゃんけんに負けた方から見て左側の窪みに嵌める」


 ふたつの窪みと絵を見比べて、琴子はため息をついた。


「さっそくってわけ? はやくない?」

「仕方ないだろ。ほら、じゃんけん――」

「げ……」

「ほら、運が残ってる人。嵌めてこいよ」


 琴子は絵を拾い上げ、とぼとぼと歩き出した。


「わたしのこと恨まないでよ?」


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