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Ice A GE(アイスエイジ)  作者: 重山ローマ
5章 嘘つきの火傷
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「変な絵ね。こういうのって、壁画って言うのよ」


 壁に刻まれた絵を指でなぞって、琴子ちゃんは言う。

 おそらく人だろうか、大勢の人同士が固まって向き合っているのがなんとなくわかる。


「戦争か。まあいまじゃそんなこと信じられないけれど、大勢の人がいれば争いもあったというところだろ」

「じゃあ、こっちは?」


 横たわった人が何重にも重なって山のようになっている。

 死体の山だ。


「戦争の結果、人は大勢死んだ。それで次は……まるでなにかから逃げている絵だな」

「よく見て。この逃げている人たち、服装がバラバラよ。敵味方関係なしに同じ方向に逃げて行っているわ」


 人間に対しての脅威といって間違いないだろう。

 争っていた人間たちは、そこで戦争をやめるしかなかった。次は何だろう。


「神様?」


 膝をついて祈る人々の中心になにかが浮かんでいる。

 人のような身なりだが、羽がある。

 人というにはあまりに違うようだが。


「羽か……」


 まだ一度しか見たことのない蜂のようなあれは、こうして人に崇められるようなものではないだろう。

 そもそも、人のような絵で描かれるのも妙な話だ。

 あれとは関係がないのかもしれない。


「ふふ、なんだか楽しそうね。いつのまにか敬語もなくなってるし」

「あ、ごめ……んなさい」

「いいわよ。だっていまは同じ年くらいなんでしょ、見た目は。だからちゃんだってつけなくていい」

「……わかったよ」


 壁画はそこで終わり、先には部屋が見えた。

 扉があるわけではない。


「あのさ、琴子。あの部屋に入るまでにひとつ決めておこう。もし、右か左かそんな二択があって選ぶ方法がない時、どちらを選ぶ?」

「左ね」

「わかった。ちなみになんで左なんだ?」 


 にっこりと笑う。

 きっと意味なんてないのだろう。

 先へ歩いていく彼女の姿が、どこか遠く感じた。


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