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Ice A GE(アイスエイジ)  作者: 重山ローマ
5章 嘘つきの火傷
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「夢ね」


 散々笑った後に、彼女はそう言った。


「お腹にいた子供が消えるし、若返ってるし――夢じゃなかったらおかしいわよ、ね」

「……」


 母を殺したことが夢なのであれば、自分にとっては幸せなことだがそれはないだろう。

 彼女にとってそれでいいのなら、僕からなにか言うことはない。


「で、ボクの名前は?」

「ノゾムです」

「わたしは琴子ことこ。そうね、琴子お姉ちゃんって呼んで」


 見た目は下手をすれば僕より年下だというのに、それは妙に抵抗のあることだった。


「中身は30歳? つまり中身は老けている」

「見た目も中身もいまはぴちぴちなの!」

「ならお姉ちゃんと呼ぶのは変な話だと思うんですよ」

「それもそうね。特別に琴子ちゃんでいいわ」


 妥協点としてはそんなところか。

 と、彼女の身なりを思い出す。

 寒くはないのだろうか。


「僕の服がいくつかあるけど、着ます?」

「はやく寄越して」


 服を奪われ、毛布を顔にぶつけられて視界を奪われているうちに、彼女は着替えを終えていた。

 少し大きいようだが、どうやら動きにくいほどではないようである。


「僕はこれからいくところがあるけれど、琴子ちゃんはどうします?」

「ついていくわ。どうせ夢なんだし、すぐ覚めるでしょう」

「そ、そうですか」


 このまま置いていきたかったところである。

 予備のスーツも渡して、外に出る。

 ちょっとした寄り道をしてしまったが、目的地は変わらない。


「さあ、いくわよ。案内しなさい」

「う、うん」


 一人旅の方がよかったと、やはりそんなことを思うのだった。


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