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旅を始めてから4日。
持ってきた食料にはまだ一度も手を出していなかった。
今のところ、雪の中強く生きている野草だけでなんとかなっている。
こういう時にならなければ、自分の知識の有用性というものはわからないものである。
この草はいけるとか、いけないとか、そういうのは知ってるからといって、余裕のある時には関係のないものになるわけで。
必要な時に必要な知識があればそれは助かるわけだけれど、必要ない時にある知識なんてゴミみたいなものだってこと。
「いけるっていうのは、別にうまいって話じゃあないんだよな」
食べれるか食べれないかというだけ。
美味いか美味くないかはまた別だ。
扉まではいままでのペースを考えるにあと三日もあれば十分にいける。
問題はそのあとのことだった。
扉を見てさあ次に行こうって話ではなくて――もちろん中を覗かなくては、わざわざ何日もかけて歩いてきた自分が報われないではないか。
なにがあるかはもちろんわからないが。
ただの扉のような像かもしれないわけで、中なんてものもない可能性があるわけだが、それはなしにしてもらいたい。
「ん?」
もぞもぞとお尻の下が動いた気がして、慌てて立ち上がる。
食事をしていたのが墓のすぐ近くだったから、変な想像ばかり浮かんできた。
親父から聞いた話によれば、墓場から這い上がってくるのはゾンビ――
「ひぃっ!」
指が生えた。
土を掘り、積もった雪も抉り、自分の体を持ち上げてくる。
「ぷはっ」
「え?」
ついに這い出してきた全裸の少女は、そのままぐったりと動かなくなる。
見てはいけないものを見た気がして、両手で眼を覆う。
ただ好奇心で、ちらりと様子を伺った。
「お、おい! こんなところで寝たら死ぬぞ!」
「……」
少女は動かない。
指先が青く、血の気がまったくないように見えた。
「と、とりあえずだ、落ち着け。彼女を救うんだ」
近くに洞窟のようなものが見える。
食事をするならなぜそこでしなかったのだと自分を責めたくなるほどの立派なものだった。
背負えるほど自分の体はできていなかったので――単純に彼女の体に触れることが躊躇われただけのようなものだが、手首を握ってずりずりと引き摺っていく。
とても倒れている人間にやっていいこととは思えないが。
「体が冷たい。この子助かるのかな」
とりあえず毛布をかぶせて、火をつける。
彼女の体は冷え切っている。
もう手遅れかもしれない。




