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Ice A GE(アイスエイジ)  作者: 重山ローマ
5章 嘘つきの火傷
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 まず死んだのは親父だった。

 食料を探してくると言って、二度と戻ってこなかった。

 生きていると考える方が変な話だ。

 次は兄だった。

 二人で狩りに向かったら、足を滑らせて崖から落ちた。

 最後は母だった。


「はぁっ……!」


 首に残る締め付けられた跡が、じんわりと痛みを伝える。

 母を殺したのは僕だった。

 息苦しさに目を開け、首を絞める母の姿に気付いた僕は、いつのまにか母を殺していた。

 兄が死んだ次の日のことだった。

 昨晩の会話を思い出す。

 二人でがんばろうと言い合ったあの会話には、嘘しかなかったということだろう。

 僕は一人になった。

 これからどうする。


 窓の外は吹雪いていた。

 食料はなんとかもつにしても一週間といったところ。

 家の中は外よりは安全だというだけで、一人でいるには辛いところだ。

 思い出したくないことも思い出してしまうだろう。


「ま、なんとかなるさ」


 親を殺すような人間だ。

 それこそなんでもできるというものである。


「そうだ、旅に出よう」


 そんなことを言ってみる。

 こんな時代にそんな妙なことを考えるのは僕くらいなものだろう。

 外にある危険に対抗する手段はない。

 隠れてこそこそ見つからないようにすることで精一杯だ。

 次に死ぬのは僕だ。

 ならばその時まで、せめてこの世界を見て回ろうじゃないか。

 自分が生きてきた時代というものを。

 これからどうなるのかと考えながら。


「よっしゃ」


 僕にはわからないことが多い。

 外をうろつく人をかけ離れた存在や、蜂のような殺意の塊のようなもの。

 どれだって、僕にとっては危険なものだという認識で、他にはさっぱりだ。

 でもまあ、知らないからといってなにかが困るわけでもない。

 死ぬ時は死ぬし、死ななければ死なない。

 そういう時代だ。

 まあせめて、崖から滑って死ぬような終わり方は御免だ。

 そうだな、もし死ぬ時が来るとしたら――いや、そんなことを考えるのはやめておこう。

 そういうことは死にそうになってから考えればいいことだ。


「ふむ。じゃあ今考えるってことなんじゃないのか?」


 苦笑いを浮かべて僕は立ち上がった。



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